研究課題/領域番号 |
19H01498
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤岡 秀英 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (30252753)
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研究分担者 |
野口 理子 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教 (00878241)
山岡 順太郎 神戸大学, 経済学研究科, 経済学研究科研究員 (30774434)
鈴木 純 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40283858)
堀江 進也 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50633468)
佐藤 純恵 名城大学, 法学部, 准教授 (70623388)
内種 岳詞 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (70710143)
木下 祐輔 大阪商業大学, 経済学部, 講師 (70744697)
山岡 淳 大阪成蹊大学, 経営学部, 准教授 (80645482)
足立 泰美 甲南大学, 経済学部, 教授 (80734673)
勇上 和史 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90457036)
張 帆 神戸大学, 経済学研究科, 経済学研究科研究員 (30463318)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | メンタルヘルス / 職場環境 / 健康経営 / 健康診断 / ハラスメント / データヘルス / フレイル予防 / 加点式健診事業 / ストレスチェック / 加点式健診 / 地域連携 / 労働生産性 / 生活習慣病 / 特定健診 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、勤労者の心身の健康の維持・増進に資する効果的な施策のあり方を検討するため、健康保険事業者と連携し、事業者、従業者への2回目のアンケート調査を実施して「統合パネルデータ」を構築する。 これにより、A.特定健診や特定保健指導等の疾病予防施策の有効性、B.職場環境や企業の健康管理施策が勤労者の心身の健康に及ぼす効果、ならびに、C.勤労者の心身の健康の維持・増進が企業業績に及ぼす影響を実証的に検証する。 新しく考案した「加点式健診事業」の実施と評価を行い、地域全体の健康づくりへのモチベーションを高めることで、住民の健康診断受診率の向上、就労、所得、地域生活への効果を調査検証する。
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研究実績の概要 |
A.これまで「加点式健診事業(よいとこ健診)」を10回実施してきた。対象地域の自治会からは「よいとこ健診」の継続が強く望まれている。2022年度には、その研究成果を経済社会学会、人口政策学会での発表し、査読付き論文として学会誌に掲載されている。 B.「職場環境とメンタルヘルス」についても、「全国健康保険協会」のレセプトデータ、「全国就労実態調査」のパネルデータ化を行い、その分析結果から3つの研究論文が掲載された。なお、統合パネルデータのデータマイニングに向け、従業者パネルデータのみを用いて精神的疾患症状の有無によるデータの分類を散布図行列による可視化およびデータマイニング手法の決定木で実施した。散布図行列による可視化では、変数の数が多いため新たな関係性を見つけ出すことはできなかった。一方で、決定木による分類の結果、これまでで関係性が高いと考えてきた変数は、決定木による分析でも重要度が高いことが判明した。 C‐1.「健康経営とソーシャル・キャピタル」との関連を分析するため、2021年3月に新たに実施した「職場環境とメンタルヘルス+テレワーク」の調査結果と「健康経営」に関する調査結果を使い、「健康経営」の課題を明らかした。加えて、メンタルヘルスに配慮した職場環境の改善と「離職意思」「退職行動」の抑制につながっているかを検証し、研究成果を発表した。 C-2.保健指導の効果に関連して、現在の分析にレセプトデータを加えて、Viscusi et. al.(1997, 2008), Hersh(2018)を応用して、メンタルヘルスの悪化が非喫煙・非飲酒・運動習慣含めた健康改善の機会費用を高くすることを検証した。とくに、レセプトデータより、非喫煙・非飲酒・運動習慣含めた健康改善の機会費用を包括的に経済評価してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A.「加点式健診事業(よいとこ健診)」は、コロナ禍の障害を克服してIT化を駆使して実施できたことから、対象地域の自治会からも「よいとこ健診」の継続が強く望まれている。2022年度には、その研究成果を経済社会学会、人口政策学会での発表し、査読付き論文として学会誌に掲載されている。 B.「職場環境とメンタルヘルス」についても、「全国健康保険協会」のレセプトデータ、「全国就労実態調査」のパネルデータ化を行い、その分析結果から3つの研究論文が掲載された。なお、データマイニング(ランダムフォレスト)により、職場環境、生活習慣とメンタルヘルスとの因子分析をおこない、メンタルヘルスに関係する因子を探索してきた。 C‐1.「健康経営とソーシャル・キャピタル」との関連を分析するため、2021年3月に新たに実施した「職場環境とメンタルヘルス+テレワーク」の調査結果と「健康経営」に関する調査結果を使い、「健康経営」の課題を明らかした。加えて、メンタルヘルスに配慮した職場環境の改善と「離職意思」「退職行動」の抑制につながっているかを検証し、研究成果を発表した。 C-2.保健指導の効果に関連しては、メンタルヘルスの悪化が非喫煙・非飲酒・運動習慣含めた健康改善の機会費用を高くする検証を試みたが、明確な因果関係を特定することができていない。研究分担者の異動と公務のため学会誌への投稿も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
A.「加点式健診事業(よいとこ健診)」の効果分析をおこなうため、対象地域における「健康づくり意識調査」を実施することで「加点式健診事業」による行動変容、地域活性化への効果を検証する。具体的には、2023年9月に第11回「よいとこ健診」を実施する。その前後に、対象地域の長寿会会員1200名にたいして「健康づくり意識調査」を実施する。「よいとこ健診」の受診体験から、健康づくり、フレイル予防への意識変化が認められるかどうかを、未受診者との比較を通じて検証する。その結果を対象地域と共有しながら2024年3月に第12回「よいとこ健診」を実施する計画である。 B.「職場環境とメンタルヘルス」では、これまでに蓄積してきた調査データを使用して、統合パネルデータを構築できたので、統合パネルデータに対して決定木による分類を実施予定であり、精神的疾患と関係性が高いと予測される変数を探し出し、その関係性と重要度を評価する。さらに、職場の人間関係と働き方とメンタルヘルス(MHI-5指標)の関連性を明らかにするため計量モデルを使った実証分析を行う。「職場のハラスメント状況下における職場のストレス構造の解明」をテーマに、職場のハラスメントを端緒とする職場のストレスの生起過程の因果モデルを構築し、作業負担、WSCを含む職場の人間関係などの総合的な関係性を構造方程式モデルにて解明する。 C‐1.健康経営とソーシャル・キャピタルとの関連を明らかにする。2021年3月に新たに実施した「職場環境とメンタルヘルス+テレワーク」の調査結果と「健康経営度調査の個票データ」を使用し,企業が実施する健康施策が従業員に与える影響を検証する。 C-2.保健指導の効果に関連する「非喫煙・非飲酒・運動習慣含めた健康改善の機会費用」の研究については、研究分担者の公務の時間的制約から研究方法を再検討する。
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