研究課題/領域番号 |
19H01510
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 明伸 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70186542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 貨幣 / 補完性 / 人類史 / 交易 / 国際共同研究 / 中国 / 紙幣 / 物価 / 台湾 / 交換 / 銀行券 / 銀 / 貝貨 / インドシナ / アフリカ / 世界史 / 小額通貨 / 多元性 |
研究開始時の研究の概要 |
人類史全体においては複数の貨幣が機能的分業をもって併存する貨幣間の補完性を示す現象に満ち溢れている。貨幣は交換の手段にほかならないが、貨幣の多元性はそもそも交換の多様性に由来する。匿名的に交易しようとするか、指名的にか。多数が同時に現地で交渉するか、媒介者を通して隔地的に取引するか。二つの二者択一による4種の交換にあった手段を多様に組み合わせて各社会は交易を成り立たせてきた。国際共同研究により、如上の組み合わせが社会ごとにどのように違ったかを分析し、そうした相違が世界全体の変化とどう相関してきたか、を明らかにする。
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研究実績の概要 |
黒田は、国史館台北分館において日中戦争下の法幣の送金についての資料を調査し、国立台湾博物館において18世紀の台湾におけるオランダ商人が残した現地物価資料について知見を得た。また中央研究院歴史語言研究所において漢籍データベースを利用し、歴代方志、歴代別集のデータベースから銭票や小額紙幣について情報を収集した。ことに銭票が遺失物として19世紀には中国全土において記録されていること、また14世紀元朝治下の中国において零細額面紙幣の消失が地方の交換に支障をもたらしていることを確認し、「新銭」「旧銭」などの語彙の使用例を知りえた。また貨幣使用事情の変化の背景について16世紀の中国東南沿岸での倭寇の活動状況などについて知見を得ることもできた。また台南の台湾歴史博物館を訪問し、17世紀前半のオランダの中国との商業権益をめぐる抗争の余波としての台湾占領という歴史的経緯について知見を得た。 それらの知見を加えて中国の古代から近代にかけての貨幣通史を英語で執筆しつつある。人類の4分の1を統治した中華帝国の貨幣の在り方の特徴を探ることは、単に中国という個別の事例を明らかにするだけではなく、欧米での事例からもっぱら組み立てられてきた貨幣と市場の枠組みを再検討する意義をもつ。ことに同一政府の下での貨幣の多元的存在、貴金属通貨によらない通貨流通、政府紙幣と現地紙幣の異なる流通原理、などは既存の貨幣理解に変更をせまるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミックの影響により、中国にて研究協力を得て資料調査をすることが困難であるため。
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今後の研究の推進方策 |
貨幣の多元性の二千年にわたる変化を追うことができる中国貨幣の古代から近代にかけての通史を世界的な変動の中に位置づけ、そしてそれを英語で叙述する。
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