研究課題/領域番号 |
19H01515
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
|
研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
杉原 薫 総合地球環境学研究所, 研究部, 客員教授 (60117950)
|
研究分担者 |
小林 和夫 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (00823189)
西村 雄志 関西大学, 経済学部, 教授 (10412420)
小林 篤史 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (40750435)
坪田 建明 東洋大学, 国際学部, 教授 (50546728)
鈴木 英明 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (80626317)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | インド洋交易史 / グローバル・ヒストリー / 貿易統計 / 経済発展径路 / 植民地化 / インド洋交易圏 / 経済発展経路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の課題は、19世紀から20世紀前半の時期におけるインド洋交易圏の趨勢と構造を数量的に把握し、グローバル・ヒストリーにおける地域交易の役割を論じることである。インド、東南アジアの主要港の貿易の成長に地域交易が大きな比重を占め、遠隔地貿易を支えてきたことは近年部分的に明らかにされてきたが、本研究では、そこで開発された、外国貿易、沿岸交易、鉄道・河川交易、道路交易をつきあわせる手法をインド交易圏全体に応用して包括的な推計を試みる。とくに西アジア、東アフリカ、南部アフリカや東南アジアの周辺地域を視野に入れつつ、地域交易がアジア・アフリカ諸地域の長期の発展径路にいかなる影響を与えたのかを検討する。
|
研究成果の概要 |
19世紀中葉から1930年代までのインド洋交易圏の総交易額(輸出ベース)は、おそらく世界貿易に匹敵する成長を示した。輸出額に占める域内交易の比率も大きかった。地域交易は、まず港市ハブを核とする西インド洋、インド、東南アジアにおける海域・沿岸主導の交易として発展し、それにインド亜大陸や東南アジア半島部、東アフリカにおける鉄道建設主導の内陸部の開発が加わった。そして、それらを統合する大港市ハブで、遠隔地貿易と地域交易の融合が実現した。域内交易網は、植民地化と「強制された自由貿易」体制の下で、主としてアジアの商人や金融業者が作り出した地域経済システムであった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
インド洋交易圏の成長は、主権国家によって構成される自由貿易体制とは根本的に異なる体制の下で生じ、大港市への権力・富・情報の集中、「ハブ・後背地関係」を軸とする広大な地域の序列化と、環境的周辺における生態系の破壊や土地の劣化をもたらした。と同時に、「交易の利益」を通じて地域全体の人口扶養力の上昇にも貢献したと考えられる。そこで刻印された自由貿易の構造は、第二次大戦後の政治的経済的独立の過程でしばしば否定的に捉えられた。しかし、「インド太平洋構想」に表現される現代の動きは、正負両面を見据えたインド洋交易圏のより長期的な歴史的評価の必要性を示唆しているように思われる。
|