研究課題/領域番号 |
19H01540
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
上田 隆穂 学習院大学, 経済学部, 教授 (40176590)
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研究分担者 |
伊藤 匡美 亜細亜大学, 経営学部, 教授 (20523012)
小林 哲 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60225521)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 地域創生 / 食の心理学 / 地域活性化の社会実験 / 地域連携 / パートナーシップ / 地域商社 / コスタリカ・コーヒー / 美味しさ / おせち / 日本酒&国産チーズ / クロモジ / ジビエ / 地域ブランド / 企業とのコラボレーション |
研究開始時の研究の概要 |
地方における漁業・農畜産業等の食糧に関する第一次産業とフードビジネスを対象にいかに地域創生を行うかの理論形成と実践的なパイロットプラン作りを試みるために、一次産品類型に応じた生産、食品加工イノベーションをマーケティングの観点から、日本および可能ならば外国まで範囲を広げて類型化する。そしてまた、地域外販売における新しいビジネスモデルに関する理論的枠組み構築を実施する。これらにより、アカデミックな貢献に加えて実践的な成果を目的に過疎地域でパイロットプランを地域と協議しつつ作成し、実現可能で受容可能なプランで実践的地域創生政策立案を行う。
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研究実績の概要 |
2022年1月に『沖縄おせち開発による地域創生およびそれに関する消費者調査』を執筆し、学内紀要に掲載した。概要は以下の通りである。おせちは多くの具材から成り立ち、それゆえに多くの一次産業(農水産業)および2次産業(加工業)がかかわることになり、その規模・地域で供給可能な程度にもよるが、地域における経済効果は大きい。おせちを食べる習慣のない沖縄で地域外への販売を通じて、マネーを呼び込むことが可能となり、域内経済を拡大し、地域創生に貢献できると考えられる。2021年9月現在、おせちに関する沖縄での実験プランが進行中であり、昨年度、石川県能登町におけるおせちの実験プランについて書いたが、コロナ禍もあり、事実上ストップしていた。しかしながら、遅れて立ち上がった沖縄での実験プランが先行して継続中であったため、沖縄ブランドによるおせちを対象とした、販売戦略立案のためのマーケティング・リサーチを行ったものである。これまでの研究成果より、消費者に対して地域産品の伝えるべき情報概要が示されたことを受け、これらの研究成果を活用し、適切な情報によりおせちの知覚品質・購買意欲を高める消費者セグメントを検討した。なおこのセグメンテーションは、関与(おせち、地域としての沖縄、ブランドストーリー)および制御焦点傾向(促進焦点と予防焦点)の組み合わせで検討した。 またこの年、5月には北海道釧路にて地域の商業施設を中心に見学に、7月には瀬戸内海直島にインタビューに、10月には岩手県八幡平でクラフトビール製造企業へのインタビューに、10月、12月には岐阜県恵那市に観光に関するインタビューに、12月鹿児島県奄美大島に特徴ある漁業協同組合へインタビューに訪れて地域活性化に関する知見を得た。 そして懸案事項であるおせち製造販売のパイロット実験策定実現のために7月、10月、2022年1月、3月に能登を訪問し、関係各所を周った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度と同様であるが、研究の理論化部分の面においては、おおむね順調に進展しており、コロナ禍により外国に行けなかった分を国内訪問で代替しており、食を起点とした地域創生研究では研究を重ねつつある。上記で挙げた論文では、具体的に沖縄地域においておせちによるパイロット実験を行う際に、具体的にどういう情報を出すかにおいては、非常に具体的な示唆を引き出すことができており、実施時においてのプロモーションの実施方法などのマーケティング方法を確立できたと考えている。理論面の研究に関してはこのように概ね順調ではあるが、問題は、より実際的な地域におけるパイロット実験の実施面である。石川県能登町のパイロット実験に関しては、零細企業が多く存在するため、資金面でのリスクを負う参加者はおらず、唯一リスクを負える規模である、コラボ企業であるおせちの一貫製造メーカーは、そのポリシーから委託製造のみを受け、資金的なリスクを負うことを回避しているため、オウンリスクで製造し、販売することはしない。そこでこのコラボ先メーカーとリスクを負える企業を探していたところ、沖縄の宮古島に見つかった。しかしながら、販売先を沖縄宮古島と狭く限定し、こちらの思惑である大都市圏ではなかった。ほそぼそ生産するも、コロナ禍の最中ということもあり、積極的な展開となり得ていない。そのため理論化で得た販売戦略の示唆も、コロナ禍でこの宮古島の企業と面会が進まないため、それほどの進展が期待できない状態である。それゆえ、再度、石川県能登町においてリスクを負える提携先の再探索を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
地域産品ブランド、特に地域フードブランドの販売におけるターゲティングやプロモーションの具体的な実施方法が導き出せたため、理論化研究の方向性としては、地域フードブランドの喫食が未訪問地域への訪問につながるかに関して、その仮説的なモデル作成およびその実証研究の実施に向けての構想を行い、2022年度にインタビュー調査を実施し、具体的な仮説とその実証のためのアンケート調査票作成を行う。そしてサンプル数を十分確保した実証研究のための調査を行う予定である。これは全国大会レベルの学会にて報告を計画している。構想については以下の通りである。地域で生産されている地域フードブランドを飲食することにより、当該フードブランドを収穫したり、生産したりするために未訪問地域へ訪問することに実際つながるのか、つながるとすればどういう理由によるものなのかを探ることを研究目的としたい。この種の研究は、重要性が高いにも関わらず、ほとんど研究がなされていないため、焦点を当てる価値は大きい。なおこのこの研究の中心概念モデルとしてはイタリアの地域活性化の中心キー概念であるテリトーリオ・アプローチを用いたい。このテリトーリオ・アプローチとは、地域の特産物や景観などすべてを一体化させたホリスティックなアプローチであり、近代的な大都市では適用しにくいが、田園などローカルなイメージを持つ地域にはかなりフィットがよいものであると考えうる。 またパイロット実験レベルでは、コロナ禍の静まりをみて、再度石川県能登町の諸組織に実施に向けて資金面を考慮した提案を行っていく予定である。
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