研究課題/領域番号 |
19H01611
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
坂上 元祥 兵庫県立大学, 環境人間学部, 特任教授(名誉教授) (20283913)
|
研究分担者 |
伊藤 美紀子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50314852)
中出 麻紀子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (80508185)
田中 更沙 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (90733387)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
|
キーワード | 慢性腎臓病 / 高リン血症 / リンスパイク / 血管石灰化 / 腸内細菌叢 / 末期腎不全 / 血管内皮機能 / 栄養療法 / 血管内皮障害 |
研究開始時の研究の概要 |
末期腎不全患者でみられる高リン血症は血管機能障害と血管石灰化を引き起こし、患者の生 命予後を大きく低下させるので、リンの摂取制限は重要である。しかし、食品添加物に含まれる無機リンの摂取が多くなっている現代の生活環境において、リンの管理の確実な実行は困難である。本研究では高リン食摂取後の一過性高リン血症の血管機能や炎症、腸内環境への影響を解析する。腎機能低下モデル動物に高リン食を付加し、その影響とメカニズム解明する。さらに水溶性食物繊維を用いた予防方法を検討する。次に、実際の臨床現場で患者で血管機能障害を予防し、生活の質(QOL)の維持・増進のための栄養療法の開発をめざす。
|
研究成果の概要 |
高リン血症の血管機能への影響を解析した。腎不全モデルラットに高リン食と低リン食を交互に与え一過性の高リン血症起こすと高リン食を与えたラットと同程度の血管石灰化を引き起こした。食物繊維を同時に与えると高リン血症が抑制され、腸内細菌叢の解析では尿毒素産生にかかわる細菌が有意に減少していた。この結果から腸内細菌叢を介した分子機構が明らかになった。 血液透析患者においても水溶性食物繊維の効果を検証した。水溶性食物繊維(15g/日)を2週間摂取させると血中尿素窒素濃度は有意に低下し、フェニル硫酸などの血中尿毒素物質も減少した。腸内細菌叢ではビフィズス菌などが有意に増加した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我が国の透析患者の最大の死因である心血管疾患の発症には高リン血症が大きく関わっている。血液透析患者の食生活でも加工食品の摂取が増加しており、加工食品には吸収率の高い無機リンが多く含まれている。本研究では無機リンの多い食事によって生じる一過性の高リン血症に注目し、血管機能と血管石灰化への影響を解析した。ここに本研究の学術的意義がある。 本研究ではラットで明らかにした結果を透析患者においても検討した。血液透析患者に水溶性食物繊維を摂取させると血中尿素窒素濃度と血中尿毒素物質が減少することが実証でき、血液透析現場での応用が期待できる。ここに社会的意義がある。
|