研究課題/領域番号 |
19H01634
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 愛知文教大学 (2023) 東海学園大学 (2019-2022) |
研究代表者 |
的場 正美 愛知文教大学, 人文学部, 講師 (40142286)
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研究分担者 |
久野 弘幸 中京大学, 教養教育研究院, 教授 (30325302)
田上 哲 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50236717)
大野 栄三 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (60271615)
杉本 憲子 茨城大学, 教育学研究科, 准教授 (70344827)
吉田 成章 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70514313)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 授業研究 / エビデンス / 解釈共同体 / 学校づくり / 授業研究の類型 / 授業分析 / 事実の可視化 / 文化依存 / 思考体制 / 説明項 / 民間教育団体 / 授業記録 / 付記情報 / 子ども理解 / 同僚性 / 協働的教材研究 / 国際交流 / 中間言語 / 教育学 / 分析単位 / 授業展開 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、調査や学問的根拠を有する諸事実や学校など自他の共同体が生み出した諸事実が、解釈共同体の媒介を経て、どのようにエビデンスとなるかを解明する実証的かつ開発的研究である。 実証的研究としては、①授業研究の文化依存性のレベルを解明し、②授業過程のサイクルの諸段階で生み出される事実を可視化し、③それらの事実が国内外の諸授業研究集団における授業研究を実践する解釈共同体に受け入れられ、根付いてエビデンスとなる諸条件、メカニズムを解明する。また④国際交流によって日本の授業研究の固有性を解明する。 開発研究としては、解釈共同体の持続的形成を促進する方略などローカル・イノベーションの開発をする。
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研究実績の概要 |
本研究は、調査や学問的根拠を有する諸事実や学校など自他の共同体が生み出した諸事実が、解釈共同体の媒介を経て、どのようにエビデンスとなるかを解明する実証的かつ開発的研究である。文化に依存した授業研究によって生み出された諸事実は、それを生み出した ①学校や団体の文化的影響、②実施・活用・参加する個人の表象や構え、③成員が属する解釈共同体の影響を受けている。 2022年度の研究は、各研究サークルや学校が、①同僚との協働的な教材研究と②解釈共同体としてのそれぞれの研究会における交流を通して、③どのようにエビデンスを創出し、④どのような表現方法で検証・評価し、⑤解釈共同体をどのように持続的に形成するのか、その様相を解明することを中心とした。 コロナ禍では、多くの研究サークルは、オンラインで研究交流を行った。理科サークルの事例では、問題解決の議論全体がもつ推論構造をIBE(認識論の「最良の説明への推論」)として把握し、その枠組みの中に、説明項となる実験結果を提示する過程、科学的説明を試みる過程、証言に関わる過程などがいくつも埋め込まれていた(大野 2022)。解釈共同体の一つである「社会科の初志をつらぬく会」の場合、子どもの発言や教師の観察記録など諸事実を関連的統一的に把握する各解釈者=実践者の思考の根拠として、<思考体制>が背後にあり、その変革が教師の成長と共同体の継続に関係する。解釈共同体の持続的形成には、授業研究における討論の場が重要な役割を持ち、その場は、参加者の論理がひびき合うコトバを選択する場、揺らぐ場、分節された事実に新しい気づきをする場である(的場 2022)。 エビデンスとしての事実の可視化は、個の学びを測定し、他の個の学びと比較がなされるという限界性がある(田上 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、各研究サークルや学校が、①同僚との協働的な教材研究と②解釈共同体としてのそれぞれの研究会における交流を通して、③どのようにエビデンスを創出し、④どのような表現方法で検証・評価し、⑤解釈共同体を持続的に形成するするか、その様相を解明することであった。 理由1)コロナ禍が大きな理由で、日本及び諸外国における授業研究を展開している諸研究サークルへ直接的参与し、調査することができなかった。そのために、アメリカ、北欧、西欧、アジアの授業研究サークルの授業研究の段階、サイクル、類型を区分するための具体的な展開過程の基礎資料を収集できなかった。そのために、授業研究の類型が形式的な3類型に留まり、改訂できなかった。 理由2)北欧、西欧、一部のアメリカは、理論優位な授業研究であり、多くのアジア、日本は実践優位な授業研究であると言われている。日本の授業研究は、1970年代の多様な授業研究の潮流が衰退し、授業研究を含んだカリキュラム・マネジメントを基盤に多くの学校が新しい文脈で授業研究を展開している。それぞれの学校の授業研究を特質を解明するまでのデータ蓄積ができなった。 理由3)民間教育団体の授業研究の場合は、解釈共同体としての展開過程が長期であるために、その持続(評価ー反省ー設計ー実践)の特質を把握しやすい。いっぽう、各学校の場合には校長の交代や研究指定などの理由により、短期的である。各学校を対象とする授業研究を通した解釈共同体の存続・革新・変革を解明するためには、研究の再デザインが必要である。
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今後の研究の推進方策 |
推進方策1)2023年度には、インドネシア、中国、シンガポールなどアジアを中心に、授業研究の母体、授業研究のサイクル、授業研究の目的などに関するインタビュー調査を実施する。また、アメリカにおける実際の授業研究の成果とWeb公開資料をもとに、授業研究のサイクル、目的などの調査を行う。そのことを通して、実際の授業研究の類型を再設計する。 推進方策2)1970年代より継続している民間教育団体を複数選択する。また、授業研究を伝統的に推進している学校とカリキュラム・マネジメントの文脈で推進している学校を、5地区ごとに複数選択する。そして、各学校の授業研究の特質を解明し、授業研究の類型化をする。 推進方策3)推進方策2と連動して、比較的継続して授業研究を展開している学校を複数選択し、学校の研究体制や学校文化、そして授業研究の類型の相互関係を解明する。 2023年度には、複数の中間報告として、これまでの研究成果を公表する計画を立案する。
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