研究課題/領域番号 |
19H01697
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鄭 仁豪 筑波大学, 人間系, 教授 (80265529)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 聴覚障害者 / 視覚的課題 / 問題解決方略 / 言語モード / 言語力 / 視空間記憶課題 / ワーキングメモリ / 眼球運動 / 記憶の特徴 / コミュニケーションモード / 聴覚障害 / 視覚的知覚 / 認知方略 / 視覚的記憶方略 / 視覚的イメージ / メンタルローテーション / 視覚的方略 / コミュニケーション手段 / 視覚的情報 / 選択的注意 / 周辺視活用 / 探索方略 / 認知処理方略 / 非言語性課題 |
研究開始時の研究の概要 |
一般に聴覚障害者は、音声、手話、指文字、筆談など、多様な言語モードを1つ又は複数用いて、認知課題の処理を行っている。認知課題の処理に関しては、言語的認知課題における聴覚障害者の遅れが示唆されているが、多様な言語モードを使用する聴覚障害者の非言語課題の処理やその方略については、明確にされていない。本研究では、多様な言語モードを使用する聴覚障害者の非言語性課題の処理方略を究明することを目的とする。具体的には、言語モード(音声言語・手話言語・音声手話併用)と言語力(高群・低群)の違いによる視覚的認知課題(注意・知覚・記憶・問題解決)の処理方略の相違と特徴について明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年(2021年)度の研究では、聴覚障害者の視覚的非言語性認知課題の記憶の特徴を、空間性ワーキングメモリ課題である Corsi Block 課題(Forward条件とBackward条件)を用いて、コミュニケーション手段(口話優位・手話優位)と言語力(言語力高・言語力低)の側面から、空間性記憶課題の特徴について検討した。 対象者は、特別支援学校(聴覚障害)高等部と専攻科に在籍する口話手話併用の聴覚障害生徒36名(裸耳の平均聴力レベル97.5dB)であった。対象者は、コミュニケーション手段と言語力の2要因を基準に、口話優位言語力高群11名、口話優位言語力低群4名、手話優位言語力高群10名、手話優位言語力低群8名の4つの群に分類された。課題遂行は、Corsi Block課題の順唱条件と逆唱条件で実施された。課題遂行時には、非接触型眼球運動測定装置Tobii Pro スペクトラムにより、対象者の眼球運動が測られた。 分析は、4つの群における(1)記憶スパン、(2) 課題遂行時の注視時間、(3) 課題遂行時の平均注視時間、(4)課題遂行時の注視点数の4つの側面について比較が行われ、Kruskal-Wallis検定により、群間の差を統計的に検定した。 研究の結果、Forward課題とBackward課題のいずれの課題条件においても、コミュニケーションモードや言語力の相違に基づく群間の違いは示されなかった。このことは、口話と手話を併用する聴覚障害者はコミュニケーションモードや言語力に関係なく、視空間記憶容量には差がない特徴を示すものと解釈された。これは、口話手話併用者の言語に手話が使用されている結果として推察された。しかし、7桁の課題条件に見られるように、記憶負荷が大きくなるにつれて、言語力による記憶方略の相違の可能性も窺えた。この点については、今後の研究が必要と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題全体は、聴覚障害者の視覚的非言語性認知課題の処理方略を、言語モードと言語力にもどついて、検討することである。 課題に対する成果を得るために、2019年の研究では、聴覚障害者の視覚的注視の方略と特徴を、選択的注意課題と周辺視課題から検討した。2020年度の研究では、視覚的認知課題の処理方略を、視覚的イメージ課題とメンタルローテーション課題から検討した。本年(2021年)度の研究では、空間性メモリ課題の記憶の特徴を、ワーキングメモリ課題であるCorsi Block課題のForwardとBackward課題を用いて検討した。これまでの研究では、コミュニケーションモードや言語力による記憶力の違いは示されないこと、しかし、コミュニケーションモードの違いによる方略や特徴の相違が示される場合があることが明らかになった。 昨今のコロナ感染症の影響により、研究の実施の際には、これまでの研究では研究協力機関との調整の上、予定を少し変更しながら実施するなどの工夫を行った。結果として、2021年度の研究データの一部は2022年度の前半に実施し、収集するなどの工夫を行ったののの、研究全体としては、概ね計画通り、順調に実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、聴覚障害者の視覚的非言語性認知課題の処理方略について総合的に検討するものである。 そのために、第Ⅰ研究(2019年度)では、選択的注視課題と周辺視課題を用いて、聴覚障害者の視覚的非言語認知課題の注視の方略と特徴について、第2研究(2020年度)では、心的回転課題と視覚的イメージ生成課題を用いて、聴覚障害者の視覚的非言語認知課題の知覚方略と特徴について、第3研究(2021年度)では、CBT(Corsi Block est)を用いて、聴覚障害者の視覚的非言語性認知課題の記憶の方略と特徴について検討を行った。 第4研究(2022年)では、4コマ絵からなる視覚的理解課題を用いて、聴覚障害者の視覚的非言語性認知課題の解決の方略と特徴を、コミュニケーションモードと言語力の相違の側面から、調べることを計画している。また、第5研究(2023年度)では、これまでの第Ⅰ研究から第4研究までの4ヵ年の研究をまとめるとともに、教育現場で用いられている視覚的教材の内容とその活用について調べ、本研究の第Ⅰ研究から第4研究における成果による検証と行うとともに、その活用の効果等について教育現場と情報を共有することを計画している。 昨今のコロナ感染症の影響により、教育現場での協力をえることが難しくなった側面はあるものの、教育現場のコロナ感染症対策も万全を期して実施されていることから、教育現場と十分に相談しながら、研究を実施していく予定である。
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