研究課題/領域番号 |
19H01739
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
間野 一則 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80173938)
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研究分担者 |
山崎 敦子 (慶祐敦子) デジタルハリウッド大学, その他の研究科, 教授 (10337678)
長谷川 浩志 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (40384028)
井上 雅裕 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 特任教授 (50407227)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | システム工学 / PBL / サイバーフィジカル / アセスメント / 感性価値 / 工学教育 / グローバルコンピテンシー / サイバーフィジカルシステム / インプロビゼーション / VR / ダイアライゼーション / ライフライン分析 |
研究開始時の研究の概要 |
多国籍・多分野の多様な学生達がチームで技術的・社会的問題解決を行うPBL教育プログラムにおいて,チームのコミュニケーションの難しさと解決すべき問題の複雑化,そして,解決案も国や分野により必ずしも最適解と限らない.このような多国籍・多分野型PBL教育における質保証と適切な評価は不可欠である.本研究では,主に新興国および途上国の学生と協働で創造的な包摂的問題解決能力を学修するために,「サイバーフィジカルシステム」に基づく新たなコミュニケーション手法の活用と,「感動把握手法の導入・ぎょえー体験」を組み合わせたシステム思考に基づく教育プログラムの構築,及び,質保証のためのアセスメント手法を開発する.
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研究実績の概要 |
システム思考に基づく工学教育のグローバル展開において,多国籍・多分野型PBL教育の必要性,また,その質保証と適切な評価法も不可欠であり,本研究では以下の3課題を検討している. (1)サイバーフィジカルシステムを用いたPBLコミュニケーションシステムの開発: プロジェクトチームにおけるコミュニケーションのICTを用いたPBL活動・対話記録とそのフィードバックによる円滑なコミュニケーション手法を確立する.PBLの可視化・ファシリテーションのためのPBL活動の記述手法として,PBLオントロジー(共通の語彙体系)を定義し,PBL活動のPBLオントロジー系列による手法を考案した.さらに,チームベース学習におけるディスカッションの可視化とリアルタイム振返りシステムを構築した. (2)感性価値に着目した感動把握手法の導入とぎょえー体験による変化対応力の開発: ぎょえー体験によりチームワークと帰属意識の向上,急な変化に対するポジティブ思考修得の心理行動モデルに基づく教授学習法について検討した.これまで,グローバル環境下のインプロビゼーション教育がもたらすチームパフォーマンスへの影響と各人のコンピテンシーの関連性に注目し,クロスカルチャー・エンジニアリング・プロジェクトにおけるグループワークスキルに及ぼす要因について検討した. (3)イノベーション創出×異分野・異文化のためのアセスメントシステムの構築:多国籍でのPBL参加者のアセスメントとして,PBLの能力育成手法,海外進出企業に求められるコンピテンシーについて比較調査してきた.これまでの結果から工学教育におけるコンピテンシー教育のニーズと評価について検討した. COVID-19により,PBLも対面型だけでなく,オンラインやハイブリッド型となり,オンラインプラットフォームでのグローバルPBL教育手法と評価について検討を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サイバーフィジカルPBLシステムの開発において,2021年度はPBLオントロジーを定義し,音声に加えて映像データも利用した,発言者と聴取者の属性を含めたPBLアノテーション手法について検討した.PBLオントロジーによる活動記述の提案により,リアルな行動をサイバー上で分析し支援するための基礎的な手法を導いた.とくに,ディスカッションの内容とメタレベルであるPBLにおけるチームの活動の記述に関する両方をPBLオントロジーとして定義する手法は,当初の必要とするシステム設計のためのブレイクスルーであると考える. 感性価値に着目した感動把握手法の導入とぎょえー体験による変化対応力の検討については,グローバル環境下のインプロビゼーション教育がチームワーク能力にもたらす影響を論文にまとめた.また,クロスカルチャーエンジニアリング教育のための創造的問題解決能力開発のためのアイデア創造支援システムを提案するなど,予定どおりの進捗である.評価・アセスメントについては,昨年度からのCOVID-19の影響により,海外でのPBLを実施できなかったが,海外学生とはオンラインで,また,国内では地域連携を意識したオンラインでのPBLについて検討を進めた.ZoomやGoogle classroom,さらに,VRやアバタによるPBLを実施し,新たなグローバルPBL教育のデジタルトランスフォーメーションの知見をまとめられたことは大きな成果である. イノベーション創出×異分野・異文化のためのアセスメントシステムの構築に関して,Industry 4.0として注目される分野で要求される将来のコンピテンシーについて論文としてとりまとめた.さらに,STEAM教育やVRトレーニング手法,また,リカレント教育に関連した管理職レベルのITエンジニアのコンピテンシーやスキルの検討などより広いレベルから研究の進捗があった.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,本研究の最終年度であり,これまでの成果の取りまとめと,COVID-19後,また,進展しつつある工学教育・PBL教育のデジタルトランスフォーメーションに向けた,開発・提案技術における課題について継続検討する. サイバーフィジカルシステムを用いたPBLコミュニケーションの研究では,(1) PBLオントロジーに基づく,サイバー情報としてのPBL活動の可視化・分析手法の検討を進める.PBLオントロジー記述のより一層の体系化と自動化・半自動化に向けた技術的検討を進める.(2) PBLのリアルタイムファシリテーションシステムにおける効果的なファシリテーション技術の検討を進める. 感性価値に着目した感動把握手法の導入とぎょえー体験による変化対応力について,以下の点に検証を行う.(1) クロスカルチャーエンジニアリング教育のための創造的問題解決能力開発のためのアイデア創造支援システムに関する継続的検討を行い,提案技術の妥当性を確認する.(2) 感動把握手法の導入の効果検証として,インプロビゼーション教育のオンラインと対面のPBL活動おけるコンピテンシーベースのチームワーク能力への影響について検討を進める. イノベーション創出×異分野・異文化のためのアセスメントシステムの構築においては,COVID-19後のグローバルPBLの再開において,これまでのオンライン,対面,ハイブリッドなどの形態,そのためのプラットフォームやVR/AR技術の多様化に対応したアセスメント技術について検討を進める.
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