研究課題/領域番号 |
19H01751
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
島田 貴仁 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 室長 (20356215)
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研究分担者 |
高木 大資 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10724726)
荒井 崇史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50626885)
樋口 匡貴 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (60352093)
石盛 真徳 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (70340453)
木村 敦 日本大学, 危機管理学部, 准教授 (90462530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 犯罪予防 / 介入 / 縦断研究 / 集団 / マルチレベル分析 / 縦断分析 / 効果検証 / マルチレベル / フィールド実験 / ナッジ / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
縦断的社会調査,実験室実験,現場でのフィールド実験を通じて,警察や自治体の実務家が,住民特性や直面する犯罪問題に応じて効果的な介入方法を選択できる「オーダーメイド犯罪予防」の仕組みを,その簡便な評価方法を含めて確立する。
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研究実績の概要 |
研究3年目である本年度は,高齢者対象の縦断調査・日常活動調査,介入の効果分析を行った。 高齢者対象の縦断調査では,65-84歳の高齢者2800名に対して第3波調査を行い,特殊詐欺前兆電話経験および防犯情報・介入への接触を尋ねた。また,過年度に実施した調査から楽観バイアスについての論文を刊行した(木村ら2023,心理学研究)。楽観バイアスは,留守番電話使用との相関はなかったものの,不審電話着信時の既遂被害につながる行動意図との関連が示され,その是正の必要性が示唆された。 高齢者の日常活動調査では,高齢者男女11名を対象に自宅固定電話の利用および外出状況を7日間にわたり日誌,ビデオカメラ,GPSロガーにより測定・観察した。固定電話利用は低調であったが,電話の相手を確認せずに応答する様子が確認された。また防犯情報への接触媒体はテレビ,新聞が多く,内容について同居家族と話していることも確認された。 介入の効果分析では,過年度に実施した公的機関の情報発信プロジェクトの評価研究の論文が採択された(白川ら2023, 心理学研究)。特殊詐欺の防犯情報のツイートは,予防行動の効果性認知および行動意図を高めていたが,予防行動実施率には有意な影響はなく,行動変容の困難性も示された。また,大学生約100名を対象に,フィッシング詐欺の脅威,予防行動の反応効果性,自己効力感を操作した情報を提示して,予防行動を勧告する実験を実施し,その分析結果を論文発表した(春田ら2023,上智大学心理学年報)。 なお,本課題では,研究者と実務家の交流を通じて効果検証の機運を高め,一次研究の蓄積を図っている。本年度は日本心理学会大会で公募シンポジウム「地域での犯罪予防」を開催し,研究代表者および分担者2名が,本科研費での実施事項および犯罪オープンデータの分析事例を話題提供し,指定討論者と議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年初頭からのCovid-19の感染拡大は,地域の犯罪予防についても大きな余波をもたらした。本研究では,高齢者の特殊詐欺被害防止を題材に,戸別訪問や防犯教室など既存の個人・世帯を対象にした被害防止対策のほか,自治会・町内会など対人ネットワークを利用した集団に対する地域介入などを計画していたが,中断を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでコロナ禍の中で実施にこぎつけた高齢者対象の縦断社会調査,介入研究については,その結果を分析して,一次研究としての出版を図る。 2022年以降,コロナ禍での各種行動規制が緩和され,地域でも犯罪予防のための取り組みが再開されていることから,特殊詐欺以外の犯罪類型にも着目して,被害リスクの分析と介入,その効果検証を進める。 また,研究全体の総括の第一として,防護動機理論や計画的行動理論といった行動変容に関する基礎理論の適用可能性を確定させるとともに、応用社会心理学の教育研究としての実践手法を確立させる。 研究総括の第二として,本課題での取り組みを問題解決型対策,EBPM(エビデンスに基づく政策形成)など海外の犯罪対策や国内の政策動向と関連させて定式化させ,学会のシンポジウムや,研究者と実務家の交流機会を通じて,現場での効果検証の機運を高める。
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