研究課題/領域番号 |
19H01753
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
|
研究機関 | 中央大学 (2020-2022) 東京学芸大学 (2019) |
研究代表者 |
松井 智子 中央大学, 文学部, 教授 (20296792)
|
研究分担者 |
藤野 博 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (00248270)
篠原 靖明 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (10732737)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
|
キーワード | 音韻知覚 / 言語発達 |
研究開始時の研究の概要 |
言語を獲得することができ、就学後通常の学級に通う自閉スペクトラム症(ASD)児の中には、聞き取りが困難である子どもや、独立した単語は理解できても、文章理解(読み取り)が難しいといった子どもが少なからずいる。しかしこれまで国内ではASD児の聞き取りの困難さにつながる認知特性に関する研究は非常に少なく、体系的な実証研究はほぼ皆無である。そこで我々はASD児の音韻知覚の特異性を示唆する新たな研究結果を受け、国内のASD児を対象に、音韻知覚の特異性が、語や文の構造理解のつまずきや、授業における学年相当の「聞き取り」と「読み取り」の困難さの要因となるかどうかを検証する。
|
研究実績の概要 |
(1)聞き取り困難の所在追究実験(行動評価及び脳波解析):ASD児のよる「聞き取り」の困難は音声知覚と音韻認識のどちらに存在しているのか、その疑問を解明するため、日本語音声を使用して聴覚弁別実験と音素識別実験を実施した。また、事象関連電位の中でもミスマッチ陰性電位を分析することで、定型児とASD児の間で音声知覚と音韻認識がどのように異なっているのか、比較した。
(2)ピッチアクセント知覚(行動評価):先行研究によると、ASD児は基本周波数の変化に敏感であるが、言語音の認識においてその優位性を発揮しない傾向がある。また、定型児に比べASD児は、音声の長さや強さといった音響要素の変化に対しては敏感ではない。これら結果から本研究では、日本語ピッチアクセントの認識において、ASD児は音韻認識と音声知覚の両方において困難を持つと仮説を立てた。ピッチアクセントに係る聴覚弁別及び単語認識実験を定型児とASD児の両群に対して行い、その結果を比較した。
(3)コミュニケーションと感覚および社会認知の関係:自閉スペクトラム症(ASD)の小学生を対象として、コミュニケーションの特徴と認知特性、感覚特性の関係について定型発達の小学生と比較し検討した。CCC-2(子どものコミュニケーション・チェックリスト)、感覚プロファイル短縮版、心の理論課題、中枢性統合を評価する課題を実施した。CCC-2は「音声」「文法」「意味」「首尾一貫性」、感覚プロファイルは「聴覚フィルタリング」「視覚・聴覚過敏性」の項目を分析した。その結果、ASD群では心の理論と「音声」「文法」との間に有意な正の相関が、TD群では「視覚・聴覚過敏性」と「意味」「首尾一貫性」との間に有意な負の相関がみられた。この結果から、ASD群の言語コミュニケーションの特徴には心の理論は関係するが中枢性統合と感覚特性は関係しないことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ASD児の対面調査をすることができるようになり、実験データを収集することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
行動実験、脳波実験ともに、ASD児の参加人数を増やして明確な群間比較ができるように調査を進めていく。
|