研究課題/領域番号 |
19H01775
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
神前 裕 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80738469)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
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キーワード | 消去 / 連合学習 / 道具的行動 / 行動再発 / 動物 / 更新効果 / 文脈条件づけ / 行為と習慣 / 薬物依存 / 線条体 / 道具的条件づけ / 自発行動 / ラット / 連合学習理論 |
研究開始時の研究の概要 |
我々ヒトを含む動物の行動は、その多くが学習によって形成される。行動を形成する際の学習については、その理論的分析や神経基盤の解明が進んでいるが、一旦形成された行動が何らかの要因により消失していく場面、「消去」において、どのようなメカニズムがそのような消去学習を支えているか、多くのことが未解明である。本研究では、ラットを対象として学習理論に基づく行動実験と神経科学的操作を組み合わせ、行動の消去に関するメカニズムを解明する。消去メカニズムの解明は、行動の基礎理論として重要であるのみならず、薬物依存や、多くの精神疾患で見られる非適応的な行動を適切に消去するための手がかりを得ることにも繋がる。
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研究成果の概要 |
学習性の自発行動が消去される際に生じる連合構造の変化を、動物を用いた厳密な実験統制のもとで明らかにすることを目的とした。自発行動の区分として連合学習理論で想定される「目的的行動」と「習慣的行動」が消去随伴性に対してどのように変化するかを捉えることを目的とした。成果として、ある自発行動が消去された後に文脈変化に対して再出現する更新効果について2つの知見が得られた。まず、行動の再出現は対象行動が文脈により階層的に制御された結果であり、文脈刺激と行動とが消去において連合的に競合した結果ではないことを示した。また、習慣行動と目的的行動はそれぞれ、同一の連合構造を保って再出現することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自発行動の消去について理解することは、我々ヒトを含む動物がどのように行動を変容させることで環境に適応するかという、心理学・行動科学が設定しうる最も根源的な問いに答える上で、極めて重要である。同時に、消去が困難であり、また容易に再発する行動、例えば薬物依存や行動嗜癖について基礎的な理解を得て、適切な治療などに応用する上でも重要性が高い。その意味では本研究で得られた成果は、上記の科学的理解、および社会への還元において着実な前進をもたらしたと言える。
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