研究課題/領域番号 |
19H01776
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
甲斐田 幸佐 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80586264)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2019年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | 記憶 / 睡眠 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、記憶の変容率は、ノンレム睡眠後よりも、レム睡眠後に大きいことを明らかにする。記憶は、再生されると変容する性質を持っている。記憶は、覚醒中だけでなく睡眠中にも再生されるので、睡眠中にも変容している可能性が高い。特に、レム睡眠中の脳の状態は覚醒中に近く、記憶は夢として再生されやすいため、「記憶の変容は、ノンレム睡眠中と比べて、レム睡眠中で大きい」(仮説1)可能性がある。また、記憶は「ノンレム睡眠中に固定され、レム睡眠中に変容される」(仮説2)というサイクルを通して形成されている可能性がある。本研究では、ヒトを対象として、上記仮説1および2を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、睡眠中の記憶形成について調べることであった。記憶の定着と変容を調べるために、夜間睡眠を前半(ノンレム睡眠優位)と後半(レム睡眠優位)に分ける睡眠折半法を用いた。記憶課題として、連合記憶課題と後知恵バイアス課題を作成した。後知恵バイアス課題を睡眠研究に用いた点は、本研究の独創である。研究の結果、ノンレム睡眠中に記憶の定着が生じやすく、レム睡眠中に記憶の変容が生じやすくなることが確かめられた。また、記憶の定着は、数時間のうちに生じるが、記憶の変容には数日程度の時間がかかることが分かった。睡眠中の記憶変容を後知恵バイアスとして定量化した研究は他になく、本研究の主要成果のひとつである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果、レム睡眠中に記憶の変容が生じている可能性が高いことが明らかになった。記憶の変容は、誤った意思決定の原因となり得る一方で、自然環境や社会環境へ合わせて記憶を変化適応させ、精神状態を良好に保つためになくてはならない機能でもある。その重要な機能にレム睡眠が関与していることが明らかとなったことの学術的意義は大きい。また、本研究の結果は、記憶の変容を伴う心理療法(認知行動療法など)の効果を促進するためにもレム睡眠が重要であることを示唆しており、この知見が社会に及ぼす意義は深いと考えられる。
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