研究課題/領域番号 |
19H01778
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山内 卓也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90432707)
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研究分担者 |
都築 暢夫 東北大学, 理学研究科, 教授 (10253048)
山名 俊介 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50633301)
宮内 通孝 岡山大学, 教育学域, 准教授 (70533644)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ガロア表現 / 保型性問題 / セール予想 / 法p保型表現 / ジーゲル形式 / 局所法2ガロア表現 / 局所2進ガロア表現 / ジーゲル保型形式 / テータ作用素 / 法pジーゲル形式 / テータサイクル / 保型表現 |
研究開始時の研究の概要 |
現代数学の発展により、以前までなら個々に扱っていた対象を抽象化することで一塊にして扱い、その普遍的性質を問うことが可能になった。本研究テーマはガロア表現と呼ばれる代数的対象と保型表現と呼ばれる解析的対象の間の対応を問う問題であり、その対応を明確にするには各分野のさらなる発展も必須であり、広い分野に影響を与えるものである。その点では問題を解くという動機を除いても十分に意義がある。
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研究実績の概要 |
今年度は, ファイバーが3次元カラビヤウ多様体であるDwork 族の各ファイバーの保型性を証明するために, 局所法2および局所2進表現の2進ホッジ論的性質を調べた。 局所2進の方はクリスタリンである場合は, フィルター付きフロベニウス加群の構造を用いることで, 保型性持ち上げ定理を確立する際に重要な局所変形環が満たすべき良い条件である「潜在的対角性」を当該局所2進表現が満たすことを証明した。法2表現の方は都築氏との共同研究である3項5次多項式のガロア群によって記述することを既に証明しているので、この結果を用いて、局所法2のガロア型を完全に決定した。クリスタリンでない場合は現在計算中である。ファイバーが一般の場合にも幾つか実験的な計算を行った。例えば, ファイバーが5次元のDwork族に対しても法2表現をある種数3の非超楕円的曲線の法2表現と関連付け塩田理論を適用することで具体的に双接点を与える定義方程式(素体上28次式)を決定し, 特殊化を計算することで生成的にS8拡大であることを示した。他にもファイバーの次元が偶数次元の場合、法2ガロア表現の可約性や代数群の中心リフトなどを用いて、保型性問題と相性の良いガロア表現の形を求めた。 保型形式関係ではヘンリーキムおよび桂田氏とともにヘンリーキムと共同で考察した池田型リフトのピーターソン内積の明示的記述を与えた。また跡部氏、伊吹山氏、桂田氏、千田氏とともにハーダー予想検証する手法を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幾何的ガロア表現の保型性をDwork族のファイバーに関して証明する足掛かりとして, 法2ガロア表現の像が決定でき、さらにその保型性が多くの場合に確認できたことが重要な進展であった。さらにガロア表現の像は単純な3項5次多項式で記述されここから局所法2ガロア表現の記述も実行可能となった。さらに(Dwork族のファイバーに付随する)局所2進ガロア表現の形もわかり, ここから潜在的対角性を持つことがp進ホッジ理論を用いて確認できる. この性質は保型性持ち上げ定理の「最小」でない場合を扱う上で非常に重要な条件となる。 以上により、Dwork族を念頭においた保型性持ち上げ定理の改良の準備が整ったというのが研究計画を前進させた理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では2進ガロア表現の保型性持ち上げ問題を「最小でない場合」にも証明することである。Thorneによって「最小である場合」はある条件のもと解決されている。既存の結果は最小でない場合を扱うためには2進ガロア表現の次数が奇数である必要があるがこの条件は多くの重要なガロア表現を除外してしまい、応用上扱いにくい。また素数2は「小さすぎるため」既存の保型性持ち上げ定理の条件からは外れている。これらの状況が現在進展した理論や自身の研究と合わせてどの程度改良の見込みがあるか精査する。これは研究を推進させると期待する。その後、2進ガロア表現の保型性持ち上げ問題を「最小でない場合」の証明に取り組む。一般の場合を扱うが途中困難が生じた場合は次数を4, 像をGSp4に制限し, 自身が集積した研究内容を応用しながらこの問題に取り組む。
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