研究課題/領域番号 |
19H01779
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
戸田 幸伸 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (20503882)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | Donaldson-Thomas不変量 / 連接層の導来圏 / 導来代数幾何学 / 行列因子化 / 導来圏 / D-臨界的スキーム / 導来スタック |
研究開始時の研究の概要 |
3次元カラビヤウ多様体上の連接層の導来圏の安定対象のモジュライ空間の幾何構造やそこから定義されるDonaldson-Thomas不変量の性質を明らかにするため、「D-臨界的双有理幾何学」や「圏論的Donaldson-Thomas理論」といった概念を導入し、詳細に調べていく研究計画である。特に圏論的DT理論が安定性条件の変化によってどの様に振る舞うかに焦点を当てて研究し、従来までのDT不変量の壁越え公式の圏論化を与える事を目標とする。
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研究実績の概要 |
今年度は3次元アファイン空間上の点のヒルベルトスキームに付随する圏論的DT理論の研究をコロンビア大学のTudor Padurariu氏と共同で行った。3次元の点のヒルベルトスキームに付随する通常のDT不変量の生成関数は3次元ヤング図形の数え上げの母関数であるMacMahon関数で記述できることが知られていたが、このMacMahon関数を圏論化するDT圏の準直交分解の存在は以前から興味を持っていた。昨年度の研究でresolved conifoldの場合のPT圏の準直交分解を示したが、同様の手法を適用することでこの場合にも適用できるのではないかと考えていた。しかしヒルベルトスキームの場合にはトーラス重みに関する組み合わせ論的議論が非常に複雑になり、どの様な準直交になるか見当がついていなかった。Padurariu氏との共同研究でこの組み合わせ論的に煩雑な部分を明らかにし、MacMahon関数を圏論化する準直交分解を得た。準直行分解の成分は、我々が擬BPS圏と呼ぶものから成り立っており、この擬BPS圏はそれ自体興味深い研究対象であることも判明した。我々は擬BPS圏が対称群の群作用による商スタックのZ/2-次数の導来圏と同値になると予想し、実際にその予想をトーラス同変K群と位相的K群のレベルで正しいことを示した。これは3次元の場合の点のヒルベルトスキームに対するMcKay対応の類似とも解釈できる興味深い現象であり、更なる発展が期待される。 上述の研究の手法を更に深化、発展させることで、局所代数曲面上の被約曲線類に対する圏論的DT/PT対応を証明した。これもPadurariu氏との共同研究である。通常の数値的DT/PT対応は10年以上前に私やBridgelandによって証明された公式であり、この公式の圏論化はかねてからの課題であった。圏論的DT理論が大きく進展した証とも言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3次元の場合の点のヒルベルトスキームのDT圏について大きく理解が進み、ほぼ満足できる結果が得られた。更に、かねてからの課題であった圏論的DT/PT対応についても研究が進み、被約曲線類の場合に期待する準直交分解を得た。これらの結果はコロンビア大学のTudor Padurariu氏との共同研究であり、有益な国際共同研究を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究によって、擬BPS圏の研究が非常に重要であることが判明した。擬BPS圏は本年度扱った場合よりもより一般的な状況で定義されるため、擬BPS圏のより一般的な性質、更に通常のBPS不変量の場合に観察されたオイラー標数への非依存性現象の圏論的類似についても研究を進めていく計画である。
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