研究課題/領域番号 |
19H01809
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川島 直輝 東京大学, 物性研究所, 教授 (30242093)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 統計力学 / 計算物理学 / 量子スピン系 / テンソルネットワーク / 統計物理学 / 物性基礎論 / トポロジカル量子状態 |
研究開始時の研究の概要 |
テンソルネットワーク(TN)を応用した計算手法の改良が進む一方で,TN 表現に基づく多くの手法で共通に存在する表現の最適化問題が本質的な困難としてより明瞭に認識されるようになってきている.本研究では,TNによる効率的な多次元データ表現とその実用的な計算手法の確立を出発点とし,それを利用した数値繰り込み群や量子多体系計算手法の本質的な改良を目指す.さらに,キタエフ関連モデルなど,基礎的でありながら基本的物性に関してさまざまな議論のあるモデルなど,従来の計算手法では大規模計算が不可能であった物理系の物性を明らかにする.
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研究成果の概要 |
スピン系などの量子多体問題に対して,テンソルネットワークによる新しい表現を見出し,それに基づいて,新しい数値手法を開発した.これを応用して,いくつかの代表的な問題の物性解明を行った.たとえば,トポロジカル量子状態研究において標準的である2次元キタエフモデルに対して我々が発見したテンソルネットワーク表現は,2次元古典統計力学で代表的であるループガスモデルと数学的に等価であることが分かった.さらにこれを応用した新しい計算手法を用いてキタエフモデルから派生した問題についても相図を求めた.とくに,α-RuCl3などの化合物に対応したモデルにおいて,カイラススピン液体など多くの量子相を発見した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピン系は,その単純さにも関わらず,臨界現象やトポロジカル量子相など,多くの多体物理現象を示すため,現象の本質を理解する上で重要である.このため,スピン系の特徴を調べるための多くの数値計算手法がこれまでに考案されてきたが,扱える系の大きさや精度の点で不満足な点が多かった.これを克服するために本研究課題において我々はテンソルネットワーク表現に基づく量子統計力学研究のための新しい数値計算手法を開発し,いくつかの典型的な問題にたいして適用して成果を挙げた.とくに,テンソルネットワーク法の一般の情報処理への展開についても新しい展望が開けたことは社会的な展開にもつながる成果である.
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