研究課題
基盤研究(B)
本研究課題の目的は、我々が独自に開発したフーリエ変換時間・角度分解光電子分光により、電子-格子相互作用が密接に関係している電荷密度波転移や超伝導転移を示す遷移金属ダイカルコゲナイド単結晶における、電子-格子相互作用の詳細を解明することにある。さらに、変位励起型コヒーレントフォノン励起機構を利用する事で、光誘起相転移を自在に制御することを試みる事にある。この目的達成のため、極紫外レーザー時間・角度分解光電子分光装置に光パラメトリック増幅器を導入して幅広い波長をポンプ光に使えるようにし、様々な遷移金属ダイカルコゲナイドについてフーリエ変換時間・角度分解光電子分光測定を行う。
時間・角度分解光電子分光、特にコヒーレントフォノン励起による光電子強度の振動をエネルギー-運動量空間にマップする周波数領域角度分解光電子分光(frequency domain angle-resolved photoemission spectroscopy, FDARPES)を用いることにより、様々な物質における光励起後の非平衡電子状態を明らかにした。光誘起相転移を示す物質において、光励起によってコヒーレントフォノンが観測されることがあるが、光誘起相転移に伴う電子構造の振動の様子を、FDARPESを用いることで詳細に明らかにすることに成功した。
コヒーレントフォノン励起を伴う光誘起相転移において、コヒーレントフォノンに同期して、金属状態と絶縁体状態が交互に現れるなど、新たに開発されたFDARPESという手法を用いて初めて得られる情報を抽出することに成功した。これは、光誘起相転移における詳細な電子構造の変化やそのメカニズムの理解について大きく進展させる成果である。この成果により、物質におけるバンド構造の制御、さらにそれに基づく物性制御、超高速スイッチングの実現など、将来的には一般社会への波及効果も期待できる。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 9件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (63件) (うち国際学会 14件、 招待講演 8件) 備考 (4件)
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