研究課題/領域番号 |
19H01819
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井手上 敏也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90757014)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
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キーワード | 非相反電荷輸送現象 / 非線形伝導 / 二次元物質 / 超伝導 / 非線形ホール効果 / 整流性 / 空間反転対称性の破れた超伝導 / 電界誘起超伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、様々な空間反転対称性の破れた結晶において、電流の2次の非線形応答である、非相反電荷輸送現象の研究を行い、本現象の普遍性の実証や微視的機構の解明を通して、固体中非線形電流応答の学理構築を行い、応答巨大化への指針を得ることを目指す。空間反転対称性が破れた物質が固有に持つ整流性である非相反電荷輸送現象は、学術的知見から大変興味が持たれるだけでなく、超伝導電流や量子位相起源の電流の新奇制御技術構築という側面を持ち、省エネルギーエレクトロニクス確立に向けた重要な技術となる可能性を持っている。固体中の非線形電流応答を包括的に研究することにより、本現象の基礎・応用両面での有望性を実証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、様々な空間反転対称性の破れた結晶において、対称性の破れを反映した整流特性である非相反伝導現象の研究を行い、本現象の普遍性の実証や微視的機構の解明を通して、固体中非線形電流応答の学理構築に取り組んだ。特に、極性構造を持つ電解誘起超伝導や3回回転対称性を持つ超伝導において磁場印加条件下で巨大な非相反伝導現象が生じることや、異なる超伝導整流性の機構が存在することを見出した。また、物質固有の整流現象を磁場や磁性が存在しないような場合に拡張し、そのような時間反転対称条件下でも2次の非線形伝導が生じることを発見し、電荷や超伝導ボルテックスの非対称散乱との関係性を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で発見した様々な種類の非相反伝導は、散乱現象や波動関数の幾何学的性質、超伝導の対称性やボルテックスの運動等と密接に関係しており、固体中の特徴的電子状態や電荷ダイナミクスを理解する上で非相反伝導現象が強力な手法になり得ることが強く示唆された。また、非相反伝導は物質固有の整流性であり、従来の接合構造を必要としないため、固体中の様々な相に適応可能であるという特徴を持っている。特に、電流の正負によってゼロ抵抗と有限抵抗が切り替わるような超伝導ダイオード効果への展開が開けた点は有意義であり、今後、さらなる新奇整流現象の発見や散逸が極めて小さなデバイス構築への知見を得られることが期待される。
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