研究課題/領域番号 |
19H01849
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 徹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60245371)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | ラシュバ効果 / 超伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、我々は、鉛単原子層膜などのスピン軌道相互作用の強い金属超薄膜において、2次元面に平行にかけた磁場に対して、超伝導転移温度がPauli常磁性限界から予想されるよりも2桁小さい変化しか示さないことなどを明らかにした。本研究では、これらの系で、ラシュバ相互作用がもたらす新奇な2次元超伝導相が実現されていることを検証するために、超伝導層に非磁性の障壁層を介して磁性体層を近接させた試料を用いた実験を行い、超伝導層のスピン状態に対する直接的な知見を得る。
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研究成果の概要 |
表面磁性原子によるPb超薄膜の超伝導転移温度Tcの減少率ηを磁性体やコーティング物質を系統的に変えて調べた。実験結果は、以下の(1)(2)(3)を仮定することによりすべて説明することができた。(1)ηは近藤温度TKがTcと同程度のところで最大となる。(2)TKは磁性原子のスピンの増加に伴い急激に減少する。(3)Pb超薄膜と磁性原子との間にAuやAgなどを挿入することにより、ホスト金属の価電子数が実効的に減少し、TKは著しく減少する。 特に、AuやAgでコーティングすることによってηが大きくなるという、一見意外に思える結果が観測されたが、(1)と(3)により説明できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
磁性原子密度に対するTcの減少率を、磁性原子の種類を系統的に変えて測定した研究は、バルクの希薄磁性合金でも行われておらず、本研究が初めてである。また、金属表面の磁性原子のTKは、これまで走査トンネル分光法によって得られたスペクトルをファノ関数によって解析する手法によってのみ得られていたが、本研究で用いられた手法は、その検証に使えるだけでなく、走査トンネル分光法による手法が苦手とする高いTKの決定にも用いることができる。さらに、本研究でコーティングによってTKを大きく制御できることが示されたが、ナノスケールのスピントロニクス素子の開発など応用にもつながる重要な成果と確信する。
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