研究課題/領域番号 |
19H01850
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
伏屋 雄紀 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (00377954)
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研究分担者 |
白石 誠司 京都大学, 工学研究科, 教授 (30397682)
徳永 将史 東京大学, 物性研究所, 准教授 (50300885)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | スピン軌道結合 / 磁気モーメント / スピンホール効果 / スピン変換 / 磁気抵抗 / ランダウ量子化 / スピン分解量子振動 / スピン応答 / スピン緩和長 |
研究開始時の研究の概要 |
物質中の相対論効果(スピン軌道結合)を利用すれば,磁石のミクロな起源である磁気モーメントを通常より500倍以上も大きくできると予想されている.しかし現状では,磁気モーメントの詳しい起源が解明されていないために,物質ごとに異なる劇的応答を制御できていない.
我々は,相対論効果が磁気モーメントに及ぼす影響を明らかにすることで,制御への道が拓けると考えた.本研究では,独自に開発した量子振動と弱局在の解析法を駆使し,劇的スピン応答の制御法の確立を目指す.確立された制御法は,高速磁気メモリー開発など,巨大スピン応答を得るためのデバイス設計に応用できる.
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研究成果の概要 |
(1)強スピン軌道結合系の典型物質の一つであるPbTeにおいて,スピン分裂変数Mzcで特徴付けられるスピン状態を明らかにした.計算には,代表者が独自に開発した磁場中固体電子の量子化されたエネルギーを正確に計算する手法「π-matrix法」を用いた.従来は,Mzcは磁場に依存しないと考えられていたが,スピン軌道結合が強い場合,大きく磁場に依存することを初めて見出した. (2)もう一つの典型物質Biにおいて,非常に大きなスピン-電荷変換効率(スピンホール角θsh=0.24)を達成した.さらにこの大きなスピン変換を「非常に大きな値」と「ほぼゼロ」の間で劇的に制御することにも成功した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
結晶中の相対論効果(スピン軌道結合)と,それにより変化する磁気モーメントは,非磁性の半金属・半導体でスピン応答の核となる.しかし,磁気モーメントが具体的にどのように変わるかについては,まだ詳細が分かっていない.本研究では,スピン軌道結合の強い物質の磁気モーメントを理論・実験両面で詳細に調べ,その知見を元に劇的にスピン応答を制御することに成功した.このことは,従来考慮されてこなかった,磁気モーメントの特殊な性質を活かした,劇的なスピン応答が可能であることを強く示唆するもので,本研究により,新しいスピントロニクスの方向性が示された.
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