研究課題/領域番号 |
19H01897
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉本 茂樹 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80362408)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2019年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | ホログラフィック双対 / 場の量子論 / 量子アノマリー / 弦理論 / ホログラフィックQCD / バリオン |
研究開始時の研究の概要 |
d次元の場の量子論とdよりも高い次元の曲がった時空における量子重力理論とが、ある場合に等価になる「ホログラフィック双対」と呼ばれる驚くべき現象が、どのような仕組みで成り立っているのかを解明することを目指し、場の理論側の情報から重力理論の性質を引き出す方法を開発する。特に、場の理論が与えられたときに、それとホログラフィック双対な関係にある重力理論にはどのような場が存在し、どのような時空の上で実現されるのかを、場の理論の解析によって導出する方法を与え、QCDを含む広いクラスの場の理論に対してホログラフィック双対が議論できるようにしたい。
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研究実績の概要 |
2021年度は以下のような研究を行った。まず、フェルミオンに外場のゲージ場とスカラー場(時空の座標に依存する質量)が結合した系に於いて、藤川氏の方法を用いて量子アノマリーを計算し、通常のアノマリーの公式に現れるゲージ場を superconnection に置き換えたような形でスカラー場の依存性が現れることを示した。また、これを利用して時空の境界やインターフェイスがある場合のアノマリーも統一的に取り扱えることを見出した。これについては論文として発表し、PTEP 誌に掲載されている。この論文は PTEP の Editor's suggestion に選ばれ、JPS hot topics として取り上げられた。また、バリオンの重力形状因子をQCDのホログラフィック双対な記述であるホログラフィックQCDを用いて計算する方法を開発し、特に、重力形状因子がグルーボールの交換によって記述できることを見出した。これは、電磁相互作用がベクトルメソンの交換を介して与えられるベクトルメソンドミナンスと呼ばれる性質と類似の性質が重力相互作用にも成立することを意味する。これについては、論文を執筆中で、近日中に発表予定である。もう一つ行った研究は共形場理論において、共形対称性がポアンカレ対称性に破れた場合の有効作用の構成である。過去に知られている有効作用の構成法を改良し、AdS/CFT 対応における、AdS 時空の出現があらわに見える形の有効作用の構成法を見出した。これについては、上記の執筆中の論文が仕上がったら、論文にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同時に進めている3つの研究(量子アノマリー、重力形状因子、共形対称性の破れ)で、期待された成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは重力形状因子の研究と、共形対称性の自発的破れの研究で得られた成果を論文にまとめる。また、後者の研究の共形対称性がない場の理論への拡張、アノマリーとWZW項の研究、2次元QCDの弦理論的な記述法についても考察を進める。
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