研究課題/領域番号 |
19H01925
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成木 恵 京都大学, 理学研究科, 教授 (00415259)
|
研究分担者 |
白鳥 昂太郎 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (70610294)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
|
キーワード | ハドロン物理 / 測定器 / ハドロン分光 / ハドロン反応 / 粒子識別検出器 / バリオン分光 / グザイバリオン / ハドロン / 分光学 / バリオン / マルチストレンジネス / ハドロン構造 / 粒子検出器 / ストレンジネス / ハドロンビーム / ハドロン物理学実験 / 測定器開発 / 差分型チェレンコフ検出器 / 粒子識別 |
研究開始時の研究の概要 |
ハドロン反応によるバリオン生成は断面積の量子数依存が小さく、系統的なハドロン分光研究に適している。J-PARCハドロン実験施設では、新たに建設する高運動量ビームラインにより、現行ビームラインより10倍高い30GeVの運動エネルギーを持つ粒子を輸送することが可能となる。これにより従来2GeVであった生成粒子の質量上限が10倍以上に拡張され、本格的な分光研究の道が拓かれる。本研究ではビーム粒子に対する粒子識別検出器を導入しK中間子ビームの利用を可能とする。これが実現されれば世界唯一のK中間子ビームとなり、世界に先駆けたストレンジ、チャームクォークを含むハドロン分光の研究展開が期待できる。
|
研究実績の概要 |
世界でも例のない、運動量5GeV/c領域で動作するビーム粒子のための粒子識別検出器を開発した。現在世界の中で、π中間子やK中間子などのハドロンをビームとして供給出来るのは、日本の大強度陽子加速器J-PARCか、ヨーロッパのCERNにあるSPSのみである。SPSでは20GeV/c以上、主として100GeV/c領域でビームが供給されるのに対し、J-PARCのハドロンビームはこれまで2GeV/cと低い運動量に限られてきた。しかし近年高運動量ビームラインが建設され、これを二次粒子ビームライン化することで20GeV/cまでのハドロンビームを供給出来るようになる。これにより、世界唯一の10GeV/cハドロンビームラインが実現するとともに、より重いクォークを含むバリオンの分光学が可能となる。ビームライン自身には粒子弁別機能がないため、これに対応したビーム粒子識別検出器を新たに開発した。 これまでに基礎的な設計を終了し、個々のデバイスの試験を終えている。原理として、運動量がそろったビーム粒子に対し、粒子の速さによって物質中を通過する際に発生するチェレンコフリングの径が異なることを利用する。放射長1.02のエアロジェルを発光体として用い、発生したチェレンコフリングをMPPC光センサによって検出する。 今年度は、これらのデバイスを実際に組み上げ、電子ビームを用いて、光学系、MPPCのピクセルサイズおよび暗電流、エアロジェルの形状などによるリングの広がりへの影響を評価した。これにより、最終的な光学系の最適化を行い、実機の最終的な設計を決定することが出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、最終的な実機の設計決定することを目標としていた。検出器の個々のデバイスの性能試験を行い、最適な光学系を決定した。電子ビームを用いた性能試験を実施し、必要な性能を満たす実機の設計を決定することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度性能試験によって実機のデザインを決定することができたため、今後実機を完成させる。実機の性能評価を実施し、10GeV/c領域までのハドロンビームに対する粒子識別手法を確立する。また、この技術によって新たにストレンジクォークあるいはチャームクォークを含む重いバリオンを系統的に研究することが可能となるため、その物理的意義について国内外の研究と議論し、得られた成果について発表する。
|