研究課題/領域番号 |
19H01936
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 甲南大学 (2021-2023) 京都大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
田中 孝明 甲南大学, 理工学部, 准教授 (20600406)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 宇宙線 / 超新星残骸 / 粒子加速 / X線天文学 / ガンマ線天文学 / 宇宙線加速 / X線天文 / X線 |
研究開始時の研究の概要 |
地球には宇宙から絶えず宇宙線と呼ばれる高エネルギー粒子が降り注いでいる。その起源、つまり、どのような天体で粒子がエネルギーを得るのか (加速されるのか) は、天文学・物理学の大きな問題となっていた。近年の宇宙観測や理論的研究の進展により、超新星残骸において宇宙線が加速されていることが明らかになりつつある。しかしながら、一つの超新星残骸がどれだけの量の宇宙線を生成できるのかという問題や、どんな条件を満たした粒子が加速されるのかという問題は、依然として未解決のままである。本研究では、X線帯域での超新星残骸の観測を行い、これらの問題の解決を目指す。
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研究実績の概要 |
超新星残骸では爆発噴出物が星間空間の音速を超える速度で広がるため衝撃波が形成される。そこでは、衝撃波加速機構により粒子が加速され、宇宙線が生成されていると理論的に予測されており、また、近年の観測により、実際にその証拠が得られつつある。これまで、観測から得られている情報は、比較的エネルギーの高い相対論的粒子の情報に限定されていた。本研究では、衝撃波で加速されたばかりの、より低いエネルギーを持つ準相対論的粒子に注目し、そのような粒子からの放射を探査し、個々の超新星残骸が加速している宇宙線の総量や、粒子が衝撃波加速に注入される過程を明らかにすることを目的とする。本年も前年度までに引き続き、X線天文衛星のデータを用いて、準相対論的粒子が放射する中性鉄輝線と非熱的聖堂補瀉の探査を実施した。結果として、検出には成功しなかったものの、シンクロトロン放射成分や熱的放射成分について、成果を得ることができ、それらを論文としてまとめ、出版した。また、これまでに得られている成果を、国際会議 (招待講演) や、日本天文学会にて、発表した。今後の中性鉄輝線探査に向けては打ち上げを控えたXRISM衛星による観測で得られる成果について見積もりを進め、観測計画の立案を行った。非熱的制動放射については10 keVを超える硬X線帯域の高感度観測が必須である。本研究によって既存のNuSTAR衛星では感度が不足していることが判明しており、今年度はNuSTAR衛星を超える感度を実現するためのセンサ開発に向けた準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究でこれまでに進めたX線観測データの解析については、副次的な成果も含めて、その成果を論文としてまとめており、本年度も計5本の査読付き論文を国際誌に出版することができた。現在も複数の論文の執筆を進めており、今後も継続して、成果を創出し続けられる見込みである。また、これらの成果が国際的にも認められて、The 7th Heidelberg International Symposium on High-Energy Gamma-Ray Astronomyにて、招待講演を行った。この会議は宇宙線加速に関連した成果を発表する会議としては、比較的メジャーな会議であり、本研究で得られている成果を広く周知することができた。中性鉄輝線の観測で用いる予定のXRISM衛星の打ち上げが当初の見込みより遅れているが、観測計画やデータ解析計画を進めており、打上げ後、早期に成果を上げられる見込みである。また、NuSTARを超える感度の実現を目指した研究についても順調に進んでおり、本研究終了時までに成果を創出する見込みが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度は、これまでのX線データの解析結果とフェルミ衛星やH.E.S.S.望遠鏡によるガンマ線データの結果を合わせて、被加速粒子のスペクトルを広帯域で制限し、それを研究協力者である理論研究者と議論し、加速された粒子の総エネルギーや、衝撃波加速機構への注入プロセスの制限を進める。XRISM衛星打上げ後は観測データの解析を迅速に進めて、可能であれば、本研究期間内に成果を創出する。硬X線観測を目指したセンサについても、引き続き、研究開発を進めて、期間内に学会発表や論文としてまとめ、成果を発表する予定である。
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