研究課題/領域番号 |
19H01991
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河上 哲生 京都大学, 理学研究科, 教授 (70415777)
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研究分担者 |
坂田 周平 東京大学, 地震研究所, 助教 (20772255)
M Satish‐Kumar 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50313929)
東野 文子 京都大学, 理学研究科, 助教 (60816685)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2019年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 大陸地殻 / 塩水流体 / 大陸衝突帯 / 沈み込み帯 / 部分融解 / 剪断帯 / 変成岩 / 花崗岩 / 塩水流体活動 / 下部地殻 / 南極 / 大陸衝突 / 地質学 / 物質移動 / 岩石-水反応 / 延性せん断帯 |
研究開始時の研究の概要 |
「塩水流体」は大陸地殻下部で活動する流体として、近年その存在が注目され、活動規模・起源等の実態は論争の的である。本研究では日本南極地域観測隊に参加し、大規模剪断帯沿いに数10kmの延長を持つ塩水流体の痕跡(高Cl濃度鉱物の分布)が見出されているセール・ロンダーネ山地を野外調査する。携帯型X線分析計を用い、cm-kmスケールで稠密な塩水流体活動の分布図を作成、下部地殻における塩水流体活動の広域性を検証する。採取した岩石-塩水反応帯試料のマルチ軽元素同位体分析や微量元素分析・岩石年代学的解析をもとに、塩水流体活動の実態を明らかにする。また他地域と比較し下部地殻における塩水流体活動の一般性を論じる。
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研究成果の概要 |
第61次日本南極地域観測隊に参加しセール・ロンダーネ山地の地質調査を行った。同山地の南西地域の変成岩類の温度-圧力-時間履歴を構築した結果、従来とは異なり、等温減圧後に減温減圧する履歴を複数得た。この減圧は一部地域では5.5億年前に始まっており、同山地形成モデルの再検討が必要である。 花崗岩質マグマを起源とする濃い塩水流体の流入に伴い、同山地一帯で塩素に富む含水鉱物が充填する割れ目が形成され、それぞれの割れ目を塩水流体が通過していた時間は半日以下であったことが、割れ目周囲の岩石の岩石学的・同位体地球化学的解析からわかった。塩水流体の塩濃度は、沈み込み帯環境に比べ高かった可能性が高い。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
セール・ロンダーネ山地は約6-5億年前のゴンドワナ大陸形成時のテクトニクスを理解するうえで鍵になる地域に位置するが、その形成過程を制約するのに役立つ変成岩類の温度-圧力-時間履歴が広い範囲から得られ、従来考えられていた以上に複雑な履歴を考える必要がでてきた。また、同山地や比較対象地域であるヒマラヤおよび沈み込み帯環境における塩水流体活動の研究成果は、活動的大陸地殻下部や大規模剪断帯における塩水流体活動の重要性を示しており、現在のプレート収斂域の地殻深部やマグマだまりの周辺で起きている流体活動の実態を理解し、地球物理学的観測データと比較するうえで重要な物質科学的情報を提供している。
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