研究課題/領域番号 |
19H02000
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 卓也 京都大学, 防災研究所, 教授 (90370808)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 地殻変動 / ひずみ集中帯 / GNSS / 山陰地方 / 内陸地震 / 山陰 |
研究開始時の研究の概要 |
活断層の少ない山陰地方でなぜ多くの内陸地震が発生するのかという謎を解き明かすために、山陰ひずみ集中帯及びその周辺部において稠密GNSS観測を実施し、現在の地殻変動の詳細分布を明らかにする。得られた測地観測データと変形過程の数値シミュレーションによって山陰地方の震源断層における応力蓄積過程を明らかにする。また、過去の測地測量データの再解析から山陰ひずみ集中帯における地殻変動速度の時間変化の有無を検証し、西南日本の内陸地震の活動期のメカニズムの検証を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度においては、本研究による設置から3年間を経過した島根県の観測点と周辺の観測点を含めた解析を実施することにより、山陰ひずみ集中帯およびその周辺の地殻変動の詳細分布を明らかにした。GNSS観測点の日座標値に対し、1次トレンド成分、年周・半年周成分を関数フィティングにより推定し、変位速度を推定した。アムールプレート安定部に対する速度場に変換すると、朝鮮半島では3 mm/年程度の東向きの速度が見られ、その大きさは竹島や隠岐諸島では5-6 mm/年と大きくなり、その原因は2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動であると考えられる。弾性層厚さを40 km、粘性率を9×10^18 Pa sとする弾性・粘弾性2層構造媒質を用いて、粘弾性緩和による余効変動を計算すると、朝鮮半島や日本海の島嶼部の速度が良く説明できることから、山陰ひずみ集中帯周辺の定常的な詳細地殻変動を抽出するために、観測速度から上記のモデルを用いた余効変動速度の補正を行って、定常的な速度場と、Okazaki et al.(2021)の手法でのひずみ速度場を計算した。 その結果、島根県西部では、幅30 km程度の狭い領域に明瞭なひずみの集中が見られる鳥取県中部と異なり、ひずみ集中帯の幅が50km以上と広く、ひずみ速度も鳥取県中部ほど大きくないことがわかった。ひずみ集中帯の幅が広いことはこの地域では微小地震が多い領域の幅も広いことと調和的であるが、島根県西部の日本海沿岸部の東向きの速度は、山陰ひずみ集中帯の他の地域よりも小さいことから、ひずみ集中帯が陸域だけでなく沖合まで続いていることが示唆される。 また、東北地方太平洋沖地震の補正により南海トラフのプレート間固着による変形は、隠岐までは明瞭に及んでいるが、竹島や対馬、朝鮮半島にはほとんど及んでいないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の測地測量のデータ解析(1925年北但馬地震の断層モデル推定、鳥取県中部の基線測量再解析)とGNSS観測点の新設点を含むデータ解析が順調に行われ、山陰ひずみ集中帯の全域にわたって地殻変動分布が明らかになった。当初予期していたような島根県西部でのひずみ集中は見られなかったが、東北地方太平洋沖地震の余効変動を適切に補正することで、日本海の島嶼部の地殻変動が高精度に明らかになったことは、予期していた以上の成果であり、全体としてはおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
GNSS観測データから、島根県西部ではひずみの集中がそれほど明瞭でないということが明らかになったため、当初のひずみ集中に対する地殻変動モデリングを行うことよりも、なぜこの地域で広範にひずみが分配されているかを地質・地震学的な考察から明らかにすることに重点を置く予定である。また、本研究により、朝鮮半島や日本海の島嶼部の地殻変動速度が高精度に明らかになったことにより、南海トラフ沿いのプレート境界固着に伴う地殻変動の影響範囲が明らかになった。近年、粘弾性緩和の影響を考慮すると、南海トラフの固着域による変形がかなり遠くまで及ぶことがいくつかの論文によって指摘されているが、本研究によって明らかになった地殻変動の影響範囲は、粘弾性緩和の影響をどのように取り入れれば良いのかを拘束する重要な観測データとなる。最終年度においては、GNSSデータを過去のデータも含めて整理するとともに、粘弾性緩和を考慮した南海トラフの地殻変動の影響範囲に関するモデリングを実施して、論文にまとめる予定である。
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