研究課題/領域番号 |
19H02006
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
廣瀬 丈洋 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 研究所長 (40470124)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 地震 / 断層 / 水 / 地下生命圏 / 酸化還元反応 / 南海トラフ / X線吸収微細構造分析 / 微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
地震時には地下深部で膨大なエネルギーが放出される。その大部分は熱となり、断層帯内部での岩石と水の物理化学反応を促進する。本研究では、『この地震時の物理化学反応を生命活動に利用する化学合成微生物が、沈み込み帯(南海トラフ)の地下生命圏を形成している』という仮説を、地震断層運動を再現する摩擦実験によって検証する。特に、断層摩擦発熱によって南海プレート境界物質の酸化還元反応状態がどの程度変化するのかを、X線吸収微細構造分析を用いて詳細に調べる。本研究の実験・分析結果と実際の地震観測データを組み合わせ、南海トラフで生命が利用可能な地震化学反応エネルギー量の時空間分布を描くことを目指す。
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研究成果の概要 |
地震断層運動を再現する室内摩擦実験と、回収試料の放射光X 線吸収端近傍構造(XANES)分析から、「地震時の断層運動によって生じる化学反応エネルギーを生命活動に利用する微生物が地下生命圏を形成している」という仮説の検証をおこなった。その結果、地震時の数秒程度の高速剪断運動によって岩石中の鉄の酸化反応が進行すること、さらに、この動的酸化反応は反応性の高い界面を持つナノスケール破壊粒子と、摩擦発熱によって超臨界状態となった水との化学反応に起因することがわかった。本研究によって、地震断層運動によって地下生命の代謝に必要な酸化還元エネルギーが地球内部で生成されることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地震時には地下深部で膨大なエネルギーが放出される。その大部分は熱となり、断層帯内部での岩石と水の物理化学反応を促進する。この動的な物理化学プロセスが地震発生プロセスに大きく寄与していることのみならず、地震エネルギーに依存した地下生命の可能性を指摘するに至った。また、断層内部物質の酸化還元反応を、放射光XAFS分析によって定量的に解析する手法を確立することができた。今後、本研究で確立された実験分析手法を活用した研究を進めることで、沈み込み帯での地震活動-物質循環-生命プロセスの総合的な理解に繋がると期待される。
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