研究課題/領域番号 |
19H02011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長谷川 卓 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (50272943)
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研究分担者 |
中村 英人 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任講師 (00785123)
黒田 潤一郎 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (10435836)
守屋 和佳 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60447662)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2019年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 白亜紀 / 炭素同位体比 / バイオマーカー / アルケノン / 海洋無酸素事変 / 二酸化炭素分圧 / 古環境 / 古海洋 / C4植物 / 温暖化 / OAE2 / ノルマルアルカン / IODP / 有機物 / 炭素循環 |
研究開始時の研究の概要 |
C4植物は700万年前頃に顕在化した被子植物で,通常の光合成回路の前段にCO2濃縮回路を持ち効率的な炭素固定を行う.この形質の成立過程は謎に包まれているが,「白亜紀中期の約1億年以上も前のオーストラリア南西~南極大陸にかけてがC4植物誕生の場である」という仮説を立て,これを検証する.炭素循環の大きな攪乱期の前後の試料から有機分析を進め,分子レベルの炭素同位体比分析など先進的手法も取り入れる.どの時代でどの環境激変と連動してC4植物が誕生・進化したかを明らかにし,その時代の環境背景を更に詳しく理解していく.C4植物のみに由来する有機分子の発見を期待している.
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研究成果の概要 |
本研究は当初,植物バイオマーカーの個別分子の炭素同位体比調査によりC4植物が白亜紀の南半球高緯度に誕生していたことの立証を主軸とする古環境解読を目指した.しかしC4植物の明らかな証拠は得られなかった.一方,研究過程でハプト藻類に由来するバイオマーカーで水温指標性のある2及び3不飽和アルケノンを,白亜紀の堆積物からは世界で初めて同時検出した.それらが「白亜紀中期の炭素循環攪乱と南極付近の環境」解読に極めて有用であることが判明したため,研究対象を変更しアルビアン~チューロニアン最初期のアルケノンを精査した.海洋無酸素事変2では南極大陸縁辺でCO2分圧低下と同時に急激な寒冷化が生じたことが判明した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界で初めて白亜紀の3不飽和アルケノンを発見した.2不飽和と3不飽和アルケノンが同時検出されれば古水温指標となるため極めて重要である.2不飽和アルケノンは含有量が多く,かつその起源がハプト藻類と明確だが,その炭素同位体比(d13C)測定に成功した.これも白亜系では初である.酸性化により炭酸塩が失われる場合が多い深海の海洋無酸素事変2記録ではd13C層序指標の確認が困難だが,本研究で初めてアルケノンd13C層序を用いてこれを克服した.温暖化が極度に進んだ白亜紀においてパルス的CO2増加が強い負の炭素循環フィードバックを誘導し,その結果世界中の表層海水温が低下したことを実データで示すことができた.
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