研究課題/領域番号 |
19H02030
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
小林 訓史 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (80326016)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | イオン注入 / 生体活性 / 酸化物セラミックス / 表面処理 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化物セラミックスに生体活性能を付与することで,治療期間の短縮が可能で良好な予後が得られる高付加価値な歯・骨インプラントの開発のための基礎技術の確立を目指す.ジルコニアを母材とした高強度複合材料を用い,表面にCaイオンを注入する事で骨類似アパタイトの成長の促進,すなわち生体活性を付与することを目指す.このため,イオン注入条件であるイオン注入量・注入深さと強度低下の関係を解明し,最適化を図ることで生体活性の付与に伴う強度低下を極力抑制する.具体的には,擬似体液浸漬後の最低曲げ強度1200 MPa以上,ワイブル係数10以上,骨類似アパタイト形成速度0.25 μm/dayを目指す.
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研究成果の概要 |
ジルコニア材料(3Y-TZP,ATZ)を95 ℃のNaOHやH3PO4溶液に7日間浸漬することで生体活性を付与する手法を開発した.アパタイト形成量はNaOHよりもH3PO4処理の方が高かった.特にH3PO4処理した3Y-TZPでは,表面のほぼ全てがアパタイト層で被覆され,高いアパタイト形成能を示した.さらに,二軸曲げ試験とジルコニアの劣化の指標となる単斜晶率の測定を行った.その結果,3Y-TZP,ATZ材料はNaOHやH3PO4で処理後も二軸曲げ強さは低下しなかったが,約30%の正方晶ジルコニアが単斜晶に変態した.このため,劣化を抑制可能なジルコニア材料やその処理方法が望まれる.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アルミナやジルコニアといった酸化物セラミックスは,機械的特性に優れ耐摩耗特性なども有し,生体組織と有害な反応を起こさないが,逆に生体活性に乏しい,本研究により,生体活性発現のメカニズムが明らかとなり,また,そのメカニズムに基づき,酸化物セラミックス表面に対し,選択的に生体活性を付与することを可能とする手法が開発されたことは,今後の表面処理技術開発における指針を与えるものであり,学術的に意義があると考えられる.また,単一材料での大規模骨欠損の治療への適用可能性が明らかとなった.これにより患者のQuality of Lifeの向上に寄与することが期待され,社会的意義も深いと考える.
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