研究課題/領域番号 |
19H02066
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶島 岳夫 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 招へい教授 (30185772)
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研究分担者 |
竹内 伸太郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50372628)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 流体工学 / 混相流 / 乱流 / 粒子 / 数値シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
流体の中に多数の固体粒子が分散した流れは工業装置や自然界あるいは生体内に幅広く観察され、ほとんどは乱流の状態にある。これを分散性混相乱流という。この流動を統一的に扱う数値シミュレーション手法が確立されれば、現象の解明にとどまらず、優れた輸送機能を有する媒体の開発、装置の設計、現象の制御にも強力な手段となる。本研究は、分散粒子と乱流に対してそれぞれ発展してきた理論的な扱い(数理モデル)を統合できる体積平均方程式系を確立し、例えば(流体だけでは相反する)抵抗低減と伝熱促進を両立させる混相乱流輸送現象を新規に見出し、そのメカニズムを解明することにより、提案する手法の有用性を検証する試みである。
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研究実績の概要 |
混相流と乱流の物理モデルの統合を目標として、混相および乱れに対して明示的に定義された共通の空間フィルターで粗視化する統合平均方程式を構築する。これまでに実施されている混相乱流のラージ エディ シミュレーション(LES)では、乱流と混相に対してそれぞれの従来型モデルが流用・結合されるのが現状であり、混相乱流としての統一的な扱いは完成されていない。そこで、検査体積と各相体積率の変化を考慮した統合平均の方法を提案するための研究を開始した。2022年度の研究成果は以下のとおりである: (1)大規模直接数値計算(DNS)によるデータベースを構築するため、2019年度に作った単相乱流計算コードに対して、2020年度には固体粒子モデル、さらに2021年度には伝熱モデルを組み込むことにより、高濃度固液二相乱流伝熱の計算プログラムを完成させた。2022年度から、温度差のある鉛直平行平板間の単相および固液二相の乱流について、長時間の時間進行を実行し、DNSデータベースの構築を開始した。 (2)高濃度の固液二相流を扱うためには固体粒子間の狭隘流路におけるスクイズ流れの影響が大きくなるので、潤滑が支配的な流れ場まで適用できるよう、独自の拡張潤滑モデルを組み込んで埋め込み境界法を発展させた。また、拡張潤滑モデルを壁面の滑りを考慮した形に発展させた(2023年度にMicrofluidics and Nanofluidicsに掲載予定) (3)混相乱流の統一的な平均化方程式の構築に向けては、粒子の表面応力の非等方性を考慮した粒子-流体の相互作用モデルを導いた。また、乱流のサブグリッドスケール(SGS)モデルに関する提案を学術雑誌で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間の前半3年間において、単相乱流、固液二相乱流、さらに固液二相乱流伝熱に関するDNSデータベースを構築する計画であった。そのためのプログラム作成は完了し、温度差のある鉛直平行平板間の単相および固液二相の乱流について直接数値計算を実行している。ただし、固液二相伝熱に関して、幅広いパラメーターに対する系統的なデータの蓄積、運動量と熱の非相似輸送の条件の探索については最終年度(2022年度)に持ち越した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終年度として、固気液二相乱流伝熱に対し、これまでに開発したDNSプログラムを用いたデータベースを固体粒子の径、固体体積率および固液の熱伝導率比の幅広いパラメーターに対して構築する。それに基づいて、本研究で提唱する統合平均方程式および二相乱流モデルの有効性や適応範囲を調べる。さらに、パラメーター探索により、乱流条件下における運動量と熱の非平衡輸送を発現させ、そのメカニズムを明らかにするとともに、これを統合平均方程式によって再現できるかどうかを検証する。ただ、設定項目が多岐にわたるため、期間内にデータの解析まで行うことが難しくなる恐れがあるので、パラメーター探索のための計算規模を小さめにし、大規模計算は条件を絞り込んだ上で実施するよう手順を見直す。
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