研究課題/領域番号 |
19H02077
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩井 裕 京都大学, 工学研究科, 教授 (00314229)
|
研究分担者 |
岸本 将史 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10757636)
吉田 英生 京都大学, 工学研究科, 教授 (50166964)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2019年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
|
キーワード | 固体酸化物形燃料電池 / 多孔質電極 / ガス拡散 / 造孔材 |
研究開始時の研究の概要 |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の燃料極微構造は数100nmまで微細化している。ガス拡散性を担保するため造孔材により直径数ミクロンのメゾスケール空隙が導入されるが、現状では造孔材の粒子径・量・分布に科学的な根拠は薄い。本研究はSOFCの多孔質燃料極において、不均一なメゾスケール空隙を科学的理解に基づいて能動的に取り入れることで高発電密度を実現することをめざす。精密な拡散実験と、多孔質微構造の解析、さらに構造データに基づく数値解析を実施し、燃料極内ガス輸送現象を解明することでSOFCの発電密度の向上を実現する。
|
研究成果の概要 |
本研究はSOFCの多孔質燃料極における、水素と水蒸気の対向輸送現象に注目した。クヌッセン拡散の影響が強いナノスケールの空隙構造中に、造孔材に由来する比較的大きな空隙が離散的に存在することの影響を、実験と構造観察および数値解析により研究した。その結果、燃料極厚さ方向の全圧勾配の存在を、初めて実験的に示した。3次元構造データに基づく詳細な数値解析の結果、造孔材による比較的大きな空隙は水蒸気を排出するために有効であることが明らかになった。いっぽう大空隙を通じた水素輸送は抑制される傾向にあり、そのような時は比較的小さな空隙を通じた水素輸送が促進されることを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
SOFCの多孔質燃料極において、造孔材由来の大空隙が水素と水蒸気の対向輸送に与える影響を精密な実験、大領域の構造観察とそれに基づく多孔質特徴量の定量化、詳細な数値解析で明らかにした。高効率な発電装置として期待されるSOFCの出力密度向上に資する結果である。また、造孔材による比較的大きなスケールの構造をもつ多孔質に対して、直交型FIB-SEMによる大領域観察を実現し、統計的に有意な多孔質特徴量の定量化に成功した。さらに、代替ガスの採用により、重要な現象を損なわず、かつ実際のSOFCの作動温度よりはるかに低い温度で実施可能な実験手法を確立しSOFCに関する実験的研究において新しい方向性を示した。
|