研究課題/領域番号 |
19H02101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
多田隈 理一郎 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50520813)
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研究分担者 |
多田隈 建二郎 東北大学, タフ・サイバーフィジカルAI研究センター, 准教授 (30508833)
戸森 央貴 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (30783881)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 超複合起歪機構 / 全方向駆動システム / 繊毛振動型移動機構 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては、小型・軽量及び低コストの全方向駆動機構で瓦礫内部や配管内などの狭隘空間の探査を効率良く行うことを目的とし、単純で小型の機構で全方向に移動することが可能な推進機構を開発する。 具体的には、方向の異なる弾性系から構成される繊毛のような起歪機構を用いて、全方向に駆動可能なシステムを開発する。 まず、出力回転軸に偏心させた重りを搭載した振動モータにより、起歪機構を振動させ、外界から受ける反作用の力を用いて推進する原理を、全方向に拡張する。 その上で、振動モータの回転する方向や、回転の振動数を制御することにより、瞬時に方向を転換可能なホロノミック全方向駆動システムを開発する。
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研究実績の概要 |
本年度は、超複合起歪機構の繊毛形状の改良に基づく機構の小型・軽量化をさらに進めると同時に、超複合起歪機構の先端に取り付けた、無限回転可能な頭角の制御により、配管内などの狭隘空間において、その頭角の曲がった方向に、確実に方向転換できるようにした。 さらに、弾性を有する繊毛の断面形状や傾き角などを適切に調整して、繊毛の傾き方向を、ロボットの頭角の回転方向と連動させることにより、ロボットの進行方向の前・後方向の切り換えを可能にして、超複合起歪機構の全方向駆動性を高めた。その上で、この超複合起歪機構を有するロボットを、無線で制御可能にし、バッテリーを内蔵した配線無しのロボットとして、様々な配管内部で走行実験を行った。 また、非接触型のレーザ測距センサと9軸慣性センサの出力を利用した、超複合起歪機構の自己位置推定と三次元地図情報生成の機能をさらに向上させ、複雑な形状を有する配管内部の正確な三次元地図をリアルタイムに作成できるようにした。 以上の改良により、超複合起歪機構の全方向駆動性が大きく向上し、自己位置推定機能の精度も十分に高まったことから、社会実装の一環として、探査ロボットをオペレータと共に、探査すべき配管などがある現場へと派遣し、その配管の内部の状況をカメラなどで確認するという実証実験を行い、その実証実験で得られたデータや知見に基づく、探査ロボットの移動能力の改良および小型・軽量化などを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、超複合起歪機構としての繊毛振動型移動ロボットの先端に、屈曲した頭角を取り付けて無限回転させることにより、前後左右への全方向駆動性をさらに向上させることに成功した。この内容を計測自動制御学会のSI2022で発表し、「SI2022 優秀講演賞」を受賞した。 また、カメラを搭載した超複合起歪機構を、そのオペレータと共に、探査すべき配管などがある現場へと派遣し、その配管の三次元地図情報をリアルタイムに所得しつつ探査を行い、内部の状況をカメラなどで確認するという実証実験を行う段階まで研究開発が発展したことも、当初の計画以上に研究が進展していると判断したことの根拠である。 さらに、内径75mmの配管に適用可能な超複合起歪機構としての繊毛振動型移動ロボットを用いて、2022年5月21日~22日にかけて山形市の霞城セントラルにて開催された「第1回パイプロボコン世界大会」に出場し、「アイディア賞」と「デザイン賞」を受賞し、配管探査ロボットの普及と文化としての定着に貢献できたことも、当初の計画以上に研究が進展していると判断した理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、探査すべき配管など狭隘空間の存在する現場に、超複合起歪機構としての繊毛振動型移動ロボットを実際にオペレータと共に派遣して、様々な探査などの実証実験を繰り返し、そこで得られたデータと知見とに基づき、超複合起歪機構の全方向駆動機能を向上させることが挙げられる。 また、前年度に引き続き、機械学習を用いて、超複合起歪機構の繊毛の断面形状や傾き角などのパラメータを最適化することを、ループ状に組み上げた配管を用いて効率的に得た超複合起歪機構の走行実験のデータに基づき行う。
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