研究課題/領域番号 |
19H02271
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30598503)
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研究分担者 |
權 垠相 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10360538)
菊地 哲郎 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 任期付研究員 (50453965)
伊藤 紘晃 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 助教 (80637182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2019年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 溶存鉄 / 溶存有機物 / 河川流域 / 沿岸域 / 輸送機構 / 質量分析 / 微量金属 / 河川・沿岸域 / 腐植物質 / 森は海の恋人 / 自然有機物 / 分子組成 / 分子同定アルゴリズム / 鉄 / 有機物 / 溶存鉄の起源 / 分子レベル解析 / 有機錯体 / 流域 |
研究開始時の研究の概要 |
生物生産性の高い沿岸域を維持する上で、陸域から供給される溶存鉄は重要な役割を担っている。溶存鉄の多くは腐植物質などの有機物に結合し、下流沿岸域まで輸送されると考えられているが、その起源や輸送機構の多くは未解明である。本研究では、有機鉄錯体の分子組成や配位構造を1分子レベルで精密に調べ上げ、沿岸域における有機鉄の起源や流域での鉄輸送メカニズムに関して世界を牽引する先端的な知見を創出する。本研究から、鉄の動態を考慮した健全な沿岸域環境を創出するための土地利用形態の提案等を含め、社会的価値の高い沿岸域を将来にわたり永続的に保全していくために必要な科学的知見が得られる。
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研究成果の概要 |
河川等を通して陸域から供給される溶存鉄は、沿岸海洋における生物生産性を維持する上で重要な役割を担っている。溶存鉄の多くが溶存有機物に配位し、河川流域から沿岸域まで輸送されると考えられるが、その輸送機構については分子レベルでの十分な理解には至っていない。本研究では、高分解能質量分析や分子組成同定アルゴリズム開発等を用いた分子レベルでの溶存有機物分析を通して、溶存鉄と関連性の高い溶存有機物の分子組成や起源を明らかにすることを目的とした。その結果、沿岸域などの下流域において溶存鉄と高い相関のある259の有機分子が得られ、その多くが分子量が小さく、酸化分解の進んだCHO型有機物であることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、高分解能質量分析を用いて下流域で溶存鉄と関連性の高い259の有機分子組成を抽出し、その分子的特性を明らかにすることができた点において学術的新規性が高い。また、下流域で存在するCHO型有機物組成の多くが上流域でも検出されたことは、溶存鉄と相関のある有機分子組成が上流域から輸送されてきたことを示唆する結果と言える。すなわち、本研究成果は、沿岸域への微量金属輸送や生物生産性の維持において、上流から供給される溶存有機物が重要な役割を担っていることを示唆している。従って、沿岸域生態系を保全する流域土地利用の提案という観点からも社会的意義のある結果である。
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