研究課題/領域番号 |
19H02323
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 滋 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (60139516)
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研究分担者 |
川原 晋 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (10367047)
平井 幸弘 駒澤大学, 文学部, 教授 (30181134)
山田 大樹 帝京大学, 付置研究所, 講師 (20727648)
菅野 圭祐 筑波大学, 芸術系, 助教 (80778093)
古川 尚彬 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任助教 (80454106)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 世界遺産 / 環境マネジメント / 山水・風水 / 適正技術 / エコスタディツアー / ユネスコ歴史文化遺産 / 山水の計画手法 / フエ / シナリオ分析 / 皇帝陵墓 / 阮朝 / 水マネジメント / 山当て / 山水の構成 / ユネスコ世界遺産 / 阮朝陵墓 / 文化的景観 / マネジメント計画 / 水環境マネジメント / エコミュージアム / アクションリサーチ |
研究開始時の研究の概要 |
ベトナム・フエ香江流域圏を対象として,歴史資産が集積する地域を保全するために歴史生態学的環境の持続可能なマネジメントの方法論を確立するために, まず第1に,現地調査および関係者ヒヤリング等の結果を地理情報システム上にデータベース化し,その変容過程を解明する.第2に,「環境管理のためのホロニックユニット」を抽出しカタログ化する.第3に,この環境の本質的価値の喪失や変質を食い止め,様々な環境の変化に対応することのできる選択可能なシナリオを,HUEMを活用して検討する.最後に,その歴史生態学的環境の持続可能なマネジメント,歴史遺産の保全・再生のための方法について地域の関係主体と共有し実装化を検討する.
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研究実績の概要 |
21年度の研究計画を22年度に繰り越し実施した、主な成果は、2つの皇帝陵墓領域の形成過程の解明と、それを元にしたシナリオワークショッププログラムの検討であり、以下の通りである。 第1に、嘉隆帝陵墓、紹治帝陵墓に関して、歴史資料の分析を基礎に、住民ヒアリングによる村のオーラルヒストリー作成資料及び現地確認等により、陵墓群の建設と水制御システムを中心にその形成過程を描出した。特に嘉隆帝陵墓群から成る天授局については、選地から陵墓群の完成、その後近年に至るまでの詳細な時系列のシナリオを仮説的に解明し、物語として表現した。 第2に、嘉隆帝陵墓群を多焦点、かつ多様な図法を組み合わせて描いている天授局圖夲の表現技法を、現地での表現方法のシミュレーションをとおして確認と照合する方法で解明し、山水の計画手法に関する知見を確認した。 第3に、紹治帝陵墓群及び周辺地域を対象に、GISシステムを用いて、三次元モデルを用いた構成原理の解明方法を試行した。その成果を用いて、HUEMの抽出と詳細化、その組み立てによるシナリオ検討プログラムを作成し、カウンターパートのフエ遺跡保存センターのスタッフとのワークショップを通してプログラムを試行、現地でその有効性に関し確認を行った。 第4に、GISシステム上で、皇帝陵墓などの歴史文化遺産の視点場と、そこに演出されている文化的景観の関係を解明し、多様な聖なる視軸が香江流域圏において重層的に組み合わされている実態を明らかにした。さらに、以上を総括して、現地の専門家との意見交換を通して、遺跡保存に関する、バッファーゾーン及びマネジメント計画の方法論に関して取りまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で現地調査が大幅に遅れたが、現地の協力者、カウンターパートとの密接な意見交換を元に、成果を上げることができた。ただし、世界遺産の構成資産に関わる現地住民の移転検討作業が対象地区の一つである紹治帝陵墓の隣接集落で開始され、集落民の参画によるワークショップが開催困難になり、専門家のみのワークショッププログラムの検討を進めることとなった。しかし、この地区でも一部の住民の現地での参加を得ることができ、対象とした皇帝陵墓の周辺地域での歴史的過程の解明は、残された課題はあるものの順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を2023年に繰り越し、8月に総括セミナーと最終的な現地確認調査を行ってまとめとする。セミナーにおいては、山水の文化的景観の中で生きているユネスコ世界文化遺産の構成資産を、山水の文化景観としてその価値を共有するための理論化が重要な課題である。これについてはGIS地理情報システムを活用した精緻な分析結果により、理論化を更に進める予定である。 また、バッファーゾーンを広域に指定して、有効なマネジメント計画を立案するための根拠と理論的な枠組みを、これまでの研究成果ともに様々な先進事例を示すとともに、対称地域におけるマネジメント計画の方法を提示し、地元で進めている計画に示唆を与える予定である。
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