研究課題/領域番号 |
19H02413
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
酒井 政道 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40192588)
|
研究分担者 |
花尻 達郎 東洋大学, 理工学部, 教授 (30266994)
粟野 博之 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40571675)
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 招へい准教授 (50189528)
中村 修 岡山理科大学, 研究・社会連携センター, 教授 (60749315)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2019年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
|
キーワード | スピン流 / アンビポーラ伝導体 / 電子正孔補償金属 / イットリウム二水素化物 / 希土類遷移金属フェリ磁性体 / Baber散乱 / スピン交換相互作用 / スピン緩和 / スピン拡散長 / 電子-正孔補償金属 / 電子-正孔スピン交換相互作用 / Hanle効果 / 電子-正孔交換相互作用 / ハンル効果 / 電子-正孔補償金属 / 電子-正孔交換相互作用 / Gibbs-Duhem関係式 / Y / YH2 / エントロピー / 両極性伝導体 / 補償金属 / 化学ポテンシャル / ホール効果 |
研究開始時の研究の概要 |
単一バンド伝導体のスピン流には必ず損失が伴う。スピン緩和によるエントロピー生成がスピン流の駆動力だからである。キャリヤタイプが2種類以上の場合ではその限りでない。なぜならば、化学ポテンシャルのスピン分裂の仕方に複数の組合せがあり、スピン流の形態にも複数の流れ方が可能であって、その結果、エントロピーの生成を伴わないスピン流発生が原理的に可能になるからである。本研究では、化学ポテンシャルの分裂自由度とスピン流の幾何自由度との結合が、両極性伝導性金属および半金属のスピン流に対して無損失特性をもたらすことを、理論および実験的研究によって明らかにし、すべて金属材料だけで、スピンの長距離伝送を可能にする。
|
研究成果の概要 |
電子と正孔が同時に電気伝導に寄与するアンビポーラ伝導体を非磁性領域(N)に使って、それを2つの強磁性金属(F)で挟んで構成した二重ヘテロ構造F/N/Fでは、N領域の電子-正孔スピン交換相互作用を介することによって、第1のF領域に書込んだ磁気情報を、スピン緩和を経ずに空間的に離れた第2のF領域に送込むメカニズムを理論的に見出すと共に、それに対応する現象を、垂直磁化膜特性をもつ希土類遷移金属フェリ磁性体(Tb0.33Fe0.67, Gd0.25Fe0.66Co0.09)と電子正孔補償金属YH2の組合せで構成した面内スピンバルブ型Hall素子のHall抵抗とHanle信号に見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピン緩和によってギブス自由エネルギーの一部をエントロピーに変えながら拡散するのがスピン流である。エントロピーを排出しないスピン流はあり得ないとするのがこれまでの定説であった。これが必ずしも成立しない事例を、電子と正孔とが互いのスピンを交換しながら、同時に電気伝導に寄与する物質システムに見出した点で学術的意義をもつ。無損失スピン流は、同じ向きに磁化した2つの強磁性金属で挟まれたアンビポーラ伝導体内で発生する。これは断熱されたチャネルを熱流が高温から低温領域に向かって流れるのに相当する。磁気情報の無損失長距離伝送によって、メモリーやロジック回路などの低消費電力化が見込まれる点で社会的意義をもつ。
|