研究課題/領域番号 |
19H02433
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 晃司 京都大学, 工学研究科, 教授 (50314240)
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研究分担者 |
村井 俊介 京都大学, 工学研究科, 助教 (20378805)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 強誘電体 / 圧電体 |
研究開始時の研究の概要 |
膨大なペロブスカイト化合物の中で,反転中心のない構造をもつ物質(強誘電体や圧電体)は5%に満たず,応用分野も限定的であった.これは,金属元素-酸素間の共有結合形成に基づく同じ設計指針で物質開拓が行われてきたためである.この状況を一変させたのが,層状ペロブスカイトを対象とした新しい機構の登場である.研究代表者は,ペロブスカイト関連酸化物において「酸素八面体の回転」によって結晶構造の反転対称性が破れることを初めて実証した.さらにこの原理を拡張して,従来の直接型強誘電体とは異なる物質群,すなわち「間接型」強誘電体を発見した.本研究では,酸素八面体回転に基づく間接型強誘電体の基礎学理を構築する.
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研究成果の概要 |
本研究では、層状ペロブスカイト酸化物の酸素八面体回転を制御して、圧電体・強誘電体の開拓を目指した。SrLa2Sc2O7における構造解析から、室温相は極性構造を有し、酸素八面体の回転と傾斜による二種類の構造歪みをもつことがわかった。強誘電ヒステリシス測定により分極反転が観察され、この化合物が新奇強誘電体であることが明らかになった。 この他にも、AgRTiO4(R は希土類)が室温で酸素八面体回転による構造歪みをもち、圧電体となることがわかった。また、a 軸とb 軸に沿って負の熱膨張が生じることを見出した。二軸の負の熱膨張の原因として、八面体回転と八面体変形が競合する機構を提案した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膨大なペロブスカイト化合物の中で強誘電体・圧電体は5%に満たず、応用分野も限定的であった。酸素八面体回転に基づく強誘電体・圧電体の物質設計では、元素選択の自由度が大きいため、この方向での物質探索により高機能な新規強誘電体・圧電体が登場する可能性は大いにある。また、現在は鉛を含むペロブスカイト強誘電体Pb(Zr,Ti)O3が圧電素子として広範に利用されているが、環境保全の観点からこれを代替する無鉛圧電材料の開発が強く求められている。新しい機構に基づく新材料の開発はそのような産業界の要望にも応えることができる。
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