研究課題/領域番号 |
19H02479
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山下 正人 大阪大学, 工学研究科, 招へい教授 (60291960)
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研究分担者 |
花木 宏修 大阪大学, 工学研究科, 招へい准教授 (20336829)
藤本 愼司 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70199371)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
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キーワード | 炭素鋼 / 鉄さび / 大気腐食 / 防食 / カソード還元 / 放射光 |
研究開始時の研究の概要 |
社会資本構造物を構成する鉄鋼材料は一般に腐食しやすく、維持管理のための防食が重要である。鋼材が腐食すると「さび」を生じるが、炭素鋼のさび層は防食的ではなく、さび自体が鉄鋼に対し酸化剤となって、母材の腐食を加速する。さび層を構成する鉄酸化物にはいくつかの種類があるが、構造次第で還元されやすさも異なる。また、鉄さび中に鉄以外の金属元素の導入により、還元されにくいさびを育成することが可能である。本研究では、鉄さびに非鉄元素を導入した場合の還元挙動の変化に注目し、防食的なさびの構造を原子レベルから探索する。さらに、防食的なさびの育成方法を確立し、社会資本の長寿命化に寄与する新規な防食法を提案する。
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研究成果の概要 |
社会資本鋼構造物は腐食しやすく、SDGsの強靭なインフラ構築のためにもそれらを防食することが重要である。鋼材の腐食で「鉄さび」を生じるが、鉄さびが還元されると腐食が加速する。本研究は非鉄金属イオンを導入することで還元されにくいさびや腐食生成物を育成し腐食を抑制することを指向しており、橋やプラント設備などの重要な施設の長寿命化に資する新規な防食法の基礎を作る。 研究の結果、①Ni, Al, Znイオンを鉄さびにドープすると還元が抑制され鋼材の腐食を低減できることが判明した。②非鉄金属イオンを添加した塗料を鋼材に塗布すると鋼材表面の腐食生成物層が安定構造に変化し耐食性が高まることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高度成長期において建設された多くの鉄鋼インフラはすでに建設から長期間を経過し、腐食による劣化が社会問題となっている。今後長期にわたってそれらを健全に保つための補修費用は飛躍的に増大していくことが指摘されている。高度成長期は社会資本を建造する時代であったが、成熟した社会における現在から将来にかけて、社会資本の維持が最重要課題の一つになる時代に入っている。 本研究成果は、鋼材表面に生成するさびを還元されにくい(=酸化剤として作用し難い)組成や構造に制御することを可能にし、さびの還元特性を解明した点で学術的意義を与え、鋼材の耐食性を高めることで鉄鋼インフラを守る技術開発に繋がる点に社会的意義がある。
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