研究課題/領域番号 |
19H02489
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26060:金属生産および資源生産関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
加藤 知香 静岡大学, 理学部, 教授 (00360214)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | ポリオキソメタレート / 白金 / 凝集抑制 / 触媒 / 省エネルギー / パラジウム / バイメタル化合物 / アルミニウムポリオキソカチオン / 光触媒 / 水素生成 / 再利用 / 焼成処理 / コロイド粒子 / 白金ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
白金ナノ粒子の凝集抑制技術は,白金が実装された装置やモジュールのコンパクト化・省エネルギー化・省資源化を可能にする重要な技術であるが,担体表面への担持技術の改良だけでは,凝集抑制効果は不十分である。 本研究では,単核・多核白金サイトを有するポリオキソタングステート化合物を新規合成し,それらを担体表面へ固定化-高温焼成処理することで,高強度化白金ナノ粒子-ポリオキソタングステート構造体を創製する。白金ナノ粒子を取り囲むポリオキソタングステート部位の「分子壁効果」を利用することで,極限環境でも長期的に白金機能を利用できる革新的白金凝集抑制技術を確立する。
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研究実績の概要 |
本年度は,ε-ケギン型アルミニウムポリオキソカチオンをバインダーとして用いることで,α-ケギン型二核白金種配位ポリオキソタングステートを酸化チタン表面に担持した新物質を調製した。得られた新物質の固体核磁気共鳴分析結果から,ε-ケギン型アルミニウムポリオキソカチオンおよびα-ケギン型二核白金種配位ポリオキソタングステートはどちらも単一な状態で酸化チタン表面上に存在していることが示唆された。 得られた新物質を光触媒として用い,トリエタノールアミン水溶液中,エオシンYおよびα-ケギン型アルミニウム一置換ポリオキソメタレートを共存させた系に可視光を照射したところ,6時間後のターンオーバー数 (TON = 2[水素発生量(mol)]/[白金含有量(mol)])は722に達し,ε-ケギン型アルミニウムポリオキソカチオンを介さない系に比べて約3倍の活性を示すことを確認した。光触媒反応後の固体をろ紙で回収・洗浄後,再度同じ系へ導入して光触媒活性評価試験を実施したところ,1回目の活性と同程度の値を示したことから本物質は再利用が可能であることも確認した。 一方,白金サイトのさらなる高機能化を目指して,α-ケギン型ポリオキソタングステートの一欠損サイトに白金種とパラジウム種を隣接配位させたバイメタル化合物の新規合成も行った。得られた化合物は,元素分析,熱分析,核磁気共鳴分析,フーリエ変換赤外分光分析,紫外可視分光分析,コールドスプレーイオン化質量分析等でキャラクタリゼーションを行い,目的の化合物が単一種として得られたことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,ε-ケギン型アルミニウムポリオキソカチオンを介したα-ケギン型二核白金種配位ポリオキソタングステートの酸化チタン表面への担持技術を開発し,光触媒活性や再利用に対して本担持技術が有効であることを確認した。白金種とパラジウム種を一つの欠損サイトに隣接配位させたバイメタル化合物の合成にも成功しており,本年度の研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度合成に成功した白金-パラジウムバイメタル化合物を光触媒として用い,光照射下でのトリエタノールアミン水溶液からの水素生成反応に対する触媒活性評価試験を実施する。得られた知見を詳細に検討することで,バイメタルサイトの構築が光触媒機能に与える影響について明らかにする。熱および光還元処理によるバイメタルサイトの合金化も試み,貴金属サイトの高効率利用へ向けた技術開発を推進する。 本年度開発に成功したε-ケギン型アルミニウムポリオキソカチオンを介したポリオキソタングステートの担持技術を利用し,バイメタル化合物についても酸化チタンへの担持を試みる。光触媒活性評価および安定性・再利用に関する試験も実施し,貴金属の高効率かつ持続的利用を可能にする触媒製造技術を確立する。
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