研究課題
基盤研究(B)
石油に代わる再生可能エネルギーを効率的に生産できる基盤技術の開発は、人類の永続的繁栄のために必須である。シアノバクテリアは、アシルACP還元酵素(AAR)とアルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)という2つの酵素を用い、光合成で軽油相当のアルカンを合成できることから、地球温暖化の防止に有効な再生可能バイオエネルギーの生産源として注目されている。しかしAARとADOの活性は低いため、両酵素の高活性化が急務である。そこで本研究では、実験と理論の両アプローチでAARとADOの酵素活性を飛躍的に向上させた変異体を創出した後、それらをシアノバクテリアに導入し、バイオ燃料の大量生産の実現を目指す。
シアノバクテリアは、アシルACP還元酵素(AAR)とアルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)という2つの酵素を用い、光合成で軽油相当のアルカンを合成できることから、カーボンニュートラルな再生可能バイオエネルギーの生産源として注目されている。しかし両酵素の活性は低いため、高活性化が必要である。そこで本研究では、これらの酵素活性を向上させ、微生物を用いたバイオ燃料生産を効率化させることを目指している。2023年度は次の研究を行った。(1) これまでに得られたAARとADOの高活性化変異体などをシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803に導入する実験を行った。様々なAARとADOの組み合わせを検討したところ、次の結果を得た。①全ての場合において、シアノバクテリア野生株よりもアルカン合成量が増大し、最大で野生株の約5倍量のアルカン合成を達成できた。②野生株ではC17のアルカンが主に生産されたのに対し、導入したAAR/ADOの組み合わせによっては、C15のアルカン生産量が大幅に増大した。③AAR/ADOの高活性化変異体の導入により、野生型のAAR/ADOを導入した場合よりもアルカン生産量が増大した。(2) タンパク質は特定の立体構造を形成してから機能を発揮するため、タンパク質の機能を制御するためには、タンパク質の構造形成反応機構の解明が重要である。そこで、タンパク質の構造形成反応を予測可能な物理学理論を構築した。この理論は今後、酵素反応の予測にも利用可能と期待される。(3) 新規有用タンパク質の理論設計を可能とするために、Rosettaソフトウェアを用いたタンパク質の設計や、分子動力学シミュレーション、深層学習モデルを用いたタンパク質設計などを試みた。また、実験による理論設計の検証などを行った。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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