研究課題/領域番号 |
19H02588
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉松 公平 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (30711030)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2019年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | Ti2O3 / 金属絶縁体転移 / 薄膜 / パルスレーザ堆積法 / 強相関酸化物 / 遷移金属酸化物 / 酸化チタン / 相転移デバイス / 酸化チタン薄膜 / 電子分光 / 酸化物薄膜 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化チタンの一種であるTi2O3は温度変化により絶縁体から金属状態へと転移する酸化物材料である。相転移の起源として結晶格子変形と電子状態変化の2つが提唱されている。本研究では前者に着目し、薄膜形状を用いることでTi2O3の相転移の起源に迫る。薄膜は基板からの応力により結晶格子が変形可能である。種々の基板によりTi2O3薄膜の格子変形度合いを制御し、相転移がどのように変化するかを明らかにすることでその起源を明らかにしていく。また、相転移トランジスタ応用に必要なキャリアや外場による相転移制御の基礎技術を確立する。
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研究成果の概要 |
本研究では、典型的な遷移金属酸化物である三酸化二チタン(Ti2O3)の薄膜を用いることで、Ti2O3で発現する金属絶縁体転移の起源を明らかにすることを目的とした。Ti2O3薄膜では、合成温度により室温での格子変形度合いが大きく異なることを見出した。特に低温成長した薄膜では面直方向に伸長し、バルク体で見られる金属絶縁体転移が発現せずに金属的な基底状態を持つことが明らかとなった。得られたTi2O3薄膜の角度分解光電子分光測定から、電子構造の直接観測を行なった。その結果、運動量空間での電子状態が初めて明らかになり、理論計算とよく一致するフェルミ面やバンド分散が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
典型的なd1電子系の単純酸化物にも関わらず、三酸化二チタン(Ti2O3)では温度変化で示す相転移の起源は未だ明らかになっていない。Ti2O3は温度変化による結晶格子の変形も大きいため、相転移が温度で発現する現象なのか、格子変形で発現する現象なのかが明らかにできていない。本研究では基板応力により格子変形が可能な薄膜を用いることで、今までのバルク体研究では解明不可能な相転移と格子変形の関係を明らかにした。合成条件により室温での格子変形度合いを任意に制御することで、Ti2O3で発現する金属絶縁体転移が温度によらず、特定の格子変形度合いで発現することを見出した。
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