研究課題/領域番号 |
19H02604
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
小塚 裕介 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, 主任研究員 (70580372)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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キーワード | スピンホール効果 / スピン軌道相互作用 / 酸化物エレクトロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
スピンホール効果は電流に対して直交する方向にスピン流が発生する現象であり、低消費電力で磁性体の磁化反転を可能とする手法として注目されている。大きなスピンホール効果を得るためには、スピン軌道相互作用の大きな重金属を用いるとともに、異なる電子軌道間の混成に大きく依存することが知られている。本研究では、様々な遷移金属酸化物のスピンホール効果を測定し、遷移金属d軌道と酸素p軌道の混成依存性を明らかにする。酸素p軌道の混成を調整することで、希少な重金属を用いずに大きなスピンホール効果を発現する物質を設計する指針を得ることを目的とする。
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研究成果の概要 |
磁性体を用いた不揮発メモリでは、磁性体中の磁化反転において電力が消費されるため、磁化反転過程の低消費電力化が望まれている。本研究では、スピンホール効果を用いた磁化反転を効率的に行うことを狙い、軌道混成を考慮した物質・界面設計指針を得ることを目的とした。結果として、SrIrO3薄膜において大きな非線形スピンホール効果を観測した。第一原理計算により、表面・界面における反転対称性の破れに起因していることを突き止めた。また、Py/Bi2WO6界面ではマイクロ波照射によりPy中で大きな逆スピンホール効果を観測した。この成果は、遷移金属と酸化物イオンの軌道混成が重要な役割を果たしていることを示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ランダムアクセスメモリは電子デバイスの消費電力の大きな割合を占めるため、低消費電力化が望まれており、不揮発メモリの開発が盛んに行われている。磁気メモリは有力な候補であるが、データ書き換え時の電力消費の低減が望まれており、スピンホール効果を用いた磁化反転によるデータ書き換えが注目されている。スピンホール効果はスピン軌道相互作用に基づくため非磁性体の元素のみ注目されてきたが、本研究では多軌道間の混成も重要であることを示した。本研究成果の知見は、より効率的にスピンホール公開による磁化反転を行うことのできる磁性体/非磁性体の組み合わせを設計する際の重要な指針となる。
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