研究課題/領域番号 |
19H02611
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐崎 元 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60261509)
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研究分担者 |
長嶋 剣 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60436079)
村田 憲一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60646272)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 氷 / 多結晶 / 表面融解 / 粒界 / 粒表面 / 高分解光学顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
氷結晶をモデル材料として,多結晶上では単結晶上に比べてはるかに低温でも擬似液体層が安定に存在することを,ごく近年我々は明らかにした.本研究では,多結晶氷の表面融解過程を,レーザー共焦点微分干渉顕微鏡とリニーク干渉計を用いて直接観察する.さらに,結晶光学主軸分布測定装置(新規導入)を用いてこの結晶粒の配向を解析し,結晶粒界の性質を特定する.そして,多結晶氷上の擬似液体層の,1)熱力学的安定性,2)生成カイネティクス,3)格子欠陥・粒界・高指数面の寄与,4)不純物の寄与を理解し,多結晶と単結晶でなぜ表面融解の温度領域が大きく異なるのか,その機構を解明する.
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研究成果の概要 |
多結晶氷の表面融解過程を高分解光学顕微鏡観察することで,下記の5点を発見した.1) -1.9±0.4°C以上の温度では,粒界の溝で擬似液体層が生成することを見出した.2) -0.7±0.2°C以上の温度では,粒表面で擬似液体層が生成するが,10分以内程度で自発的に消滅することを見出した.3) -0.2°C以上の融点直下では,粒界から多量の擬似液体層が生成し,粒表面を覆い尽くすことを見出した.4) 粒表面は氷単結晶表面よりも擬似液体層に対して良い濡れ性を示すことを見出した.5) NaClを添加すると,極めて低い温度(-11°C)でも擬似液体層が生成することを見出した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで,単結晶氷の表面融解については,様々な分光学的手法,光学顕微法,原子間力顕微法などを用いて様々な研究が行われてきた.しかし,自然界の大部分の氷は多結晶であり,多結晶は歪みを有する粒界や高指数面からなる粒表面など,単結晶にはない性質を持つ.そのため,様々な自然現象の謎を明らかにするには,まず氷多結晶の表面融解を理解する必要がある.本研究では予想通り,多結晶氷の粒界や粒表面が,単結晶氷にはない特異な表面融解現象を示すことを明らかにすることができた.そのため,本研究で得られた成果は,様々な氷の表面融解に関連する自然現象を今後解明するための出発点として大きく寄与するものと期待している.
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