研究課題/領域番号 |
19H02659
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三木 一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10706386)
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研究分担者 |
笹木 圭子 九州大学, 工学研究院, 教授 (30311525)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2019年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 浮遊選別 / 含ヒ素銅鉱物 / 含モリブデン銅精鉱 / 過酸化水素水 / ピロ亜硫酸ナトリウム / 銅ヒ素分離 / 銅モリブデン分離 / 海水利用 / 電気化学 / モリブデン回収 / 難処理鉱 |
研究開始時の研究の概要 |
世界の銅鉱山は、有価なモリブデンと有害なヒ素やアンチモン等を随伴するなど難処理化が進行する傾向にある。申請者は、鉱物処理工程(浮遊選別)において海水を用い、安価な酸化還元剤と組み合わせることにより、銅およびモリブデンを分離して回収する良好な予備試験結果を得てきた。本効果を、各種精密な電気化学的手法により解析し、鉱物表面に起こる酸化還元反応と生成物を同定することにより、分離機構と、より効率的な手法について探索する。また、実際の難処理銅鉱に適用し、黄鉄鉱など不純物の影響や、脈石成分、粘土鉱物に対する酸化還元剤や海水成分の影響等、海水を用いた浮遊選別法の確立にあたり必要な条件と有用性を検討する。
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研究成果の概要 |
含ヒ素銅精鉱からの浮遊選別によるヒ素の除去は困難で、大きな課題であったが、安価かつ安全な酸化還元剤(過酸化水素水、ピロ亜硫酸ナトリウム)の添加により、従来の浮遊選別回路とほぼ同じ手順で、銅鉱物を沈鉱として、含ヒ素銅鉱物を浮鉱として極めて高い効率で分離できた。本法は、極端に酸化された精鉱、他の鉱物も共存した難処理銅精鉱、鉱石試料を用いても認められた。含モリブデン銅精鉱からのモリブデンと銅の分離についても、同様の手法で、高い分離効率が得られ、海水と消石灰も使用できた。各種実精鉱試料、鉱石試料においても効果が認められた。 本法は実操業に応用可能な方法として国内外の学会、論文で高い評価を受けている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
銅需要増加に伴い銅鉱山の銅品位は減少の傾向にあり、特にヒ素やモリブデンなどの不純物の除去が大きな問題とされてきたが、一般的な浮遊選別による分離は困難であった。本研究において、安価安全な酸化還元剤添加と浮遊選別によって銅とヒ素、モリブデンが高い効率で分離できたことは、銅資源確保、環境負荷低減の観点から社会的意義が大きい。また、酸化還元剤とその他浮選剤、銅鉱物の反応機構などにおいて、これまで銅の浮遊に作用するとされてきた浮選剤が抑制剤として働く場合があり、作用の制御が可能なこと、消石灰と海水による沈殿が分離効率の上昇に働く場合があるなど、新しい作用機構を見出したことから、学術的意義も大きい。
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