研究課題/領域番号 |
19H02678
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
迫田 憲治 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80346767)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2019年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 微小液滴 / イオントラップ / 蛍光検出 / 蛍光増強 / 顕微分光 / 蛍光測定 / ゆらぎ / タンパク質 / 一分子測定 |
研究開始時の研究の概要 |
生体反応を含む多くの化学反応は常温,常圧にある凝縮相で生じている。そのような系を理解するには,環境がもつ熱エネルギーに起因する化学種の動的な構造変化,つまり「構造ゆらぎ」を無視できない。一方,生体分子が示す高度な機能も突き詰めれば化学反応の集積に還元できるはずである。したがって,生命現象を分子科学の視点から理解するには,従来の「構造(固さ)と機能」から「構造ゆらぎ(柔らかさ)と機能」へと視点を転換する必要がある。本課題では,単一微小液滴が示す光の量子効果を利用することによって,タンパク質が示す構造ゆらぎを十分に高い時空間分解能で観測することを目指す。
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研究成果の概要 |
空間捕捉された単一微小液滴が微小な光共振器として振る舞うことに注目し,液滴で生じる特徴的な現象であるwhispering gallery mode共鳴や励起光共鳴を利用することによって,液滴に溶存した分子から放出される蛍光を高感度に検出することを目指した。液滴に溶存した分子の振る舞いを観測するには長時間にわたって安定に液滴を空間捕捉する必要がある。これを実現するために,液滴捕捉のためのイオントラップとそれを設置する冷却断熱チャンバーを独自に開発した。また,この装置を用いて捕捉した液滴からの蛍光を観測したところ,既報の装置と比べて蛍光検出感度が約2桁向上していることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
蛍光分光は様々な分光法のなかでも最も検出感度の高い分光法の一つであり,かつ測定対象を非破壊的に観測できる手法でもある。本研究では,空間捕捉された単一微小液滴が示す特徴的な現象である励起光共鳴を利用することよって蛍光検出感度の向上を達成した。また最近,微小液滴内の化学反応がバルク溶液中の化学反応とはかなり異なることが分かってきており,高感度「その場観測」分光の発展による微小環境の詳細分析が強く望まれている。本研究で開発した手法を化学反応の追跡に利用できれば,微小環境における化学反応の特異性が何に起因しているかを明らかにするための有用なツールになり得る。
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