研究課題/領域番号 |
19H02685
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 繁和 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (00312538)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | ラジカル / 素粒子 / ミュオン / ミュオニウム / 有機合成化学 / 複素環 / 複素環構造 / イミドイルラジカル / ミュオン科学 / 有機合成 / 結晶構造 / リン複素環 / 合成化学 / 素粒子科学 / ヘテロ元素 / 複素環化合物 / フッ素 |
研究開始時の研究の概要 |
ミュオンはプロトンの1/9の質量をもつスピン I=1/2 の素粒子で、加速器から発生させて有機分子に打ち込むと、エネルギーを減少させながら電子を捕獲して「軽い水素原子」に相当するミュオニウムに変化する。本研究では、高周期元素を含む縮環共役化合物とフルオロアルキル置換ホウ素化合物のミュオニウム付加反応に着目し、通常の化学的手法では同定の難しい未知の高エネルギー開殻分子構造を同定する。続いて、新たに見出された開殻分子構造を有する、単離可能な化合物を合成する手法の開拓に挑む。さらに、このように得られた知見をもとに新しいスピン機能分子ユニットを創製し、分子スピントロニクスや医薬品開発などに展開する。
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研究成果の概要 |
本研究では、プロトン加速器から得られるミュオンが電子を捕獲して生成するミュオニウム(Mu)を活用して、通常の化学的手法では得られない常磁性種の創成を目的とした。まず、リン複素環一重項ビラジカルにMuが付加して対応するラジカルが生成することを明確に観測し、その位置選択性がビラジカルの電子状態や結晶構造に依存することを明らかにした。次に、アントラセンのリン類縁体への位置選択的Mu付加を見出し、ミュオンの軽同位体効果によって準安定な共役電子系が形成されることを突き止めた。一方で、Mu付加によるイミドイルラジカル生成を初めて観測し、さらに高周期カルボニルから特異な開殻パイ共役系構造をつくり出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、有機合成化学とミュオンをうまく組み合わせることによって前例のない開殻分子構造を創り出せることを明確に証明した。ミュオンの高エネルギー状態は、通常では不安定で生成できない開殻共役系分子構造などを与えるだけでなく、分子の物性に強く相関した情報も得られる。空間的にも時間的にも分子創成の可能性を飛躍的に向上させることが可能となり、前衛的な物質科学の展開がこれから大いに期待される。
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