研究課題/領域番号 |
19H02698
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
後藤 敬 東京工業大学, 理学院, 教授 (70262144)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 有機化学 / 酵素モデル / 活性中間体 / セレンタンパク質 / ペプチド / セレネン酸 / Se-ニトロソセレノシステイン / グルタチオンペルオキシダーゼ / 生体モデル / レドックス制御 / 合成化学 |
研究開始時の研究の概要 |
生体内のレドックス制御において重要な役割を果たしているセレノシステイン由来活性中間体は、極めて不安定であるためモデル研究すら困難であった。本研究では、反応中間体の高活性と安定性を両立できる新規なペプチドモデル系の創製を目指し、巨大分子キャビティをペプチドのCradleとして活用することで、ペプチド由来活性中間体そのものを安定化できるCradled peptideモデルの開発を行う。これを用いて活性中間体の「標準物質」を合成し、その構造および反応性を直接的に解明する。それにより、これまで仮説にとどまっていた生体反応の想定機構を化学的に検証するとともに、より化学的根拠に基づく機構の提案を行う。
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研究成果の概要 |
生体内のレドックス制御において重要な役割を果たしているセレノシステイン由来活性中間体は、極めて不安定であるためモデル研究すら困難であった。本研究では、巨大分子キャビティを活用することで、ペプチド由来活性中間体そのものを安定化できるCradled peptideモデルを開発した。これを用いて重要な抗酸化酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼの中間体の安定化を図り、その酵素機能について提唱されてきた基本触媒機構およびバイパス機構のすべての素反応過程を実験的に証明することに成功した。また、セレンタンパク質と活性窒素種との相互作用の中間体であるSe-ニトロソセレノシステインの合成に初めて成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
セレンタンパク質の反応は、細胞の増殖、分化、アポトーシスなどに深く関わっている。特に、重要な抗酸化酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼは、活性酸素種からの生体防御において中心的な役割を果たしているが、その反応機構は中間体の不安定性のために仮説の提唱にとどまっていた。また、セレンタンパク質と活性窒素種との相互作用中間体については、化学種の存在自体に実験的根拠がなかった。本研究により提唱反応過程がモデル系で実証されたことから、セレンタンパク質の作用機序に関して化学的エビデンスに基づいた研究が可能になり、老化や細胞死などの機構研究の基盤となるとともに、薬剤の合理的設計にも資するものと期待される。
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