研究課題/領域番号 |
19H02706
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大熊 毅 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50201968)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 触媒的有機合成 / デュアル触媒 / 連続不斉反応 / 不斉水素化反応 / 異性化反応 / イソシアノ化反応 / 動的速度論分割 / 金属錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、申請者が培ってきた触媒的不斉合成の化学を発展させ、可逆的に複数の構造をとる触媒、基質、あるいは反応剤を用い、従来なかった、あるいは困難であった分子変換反応の開拓を目指す。すなわち、1) 機能が異なる二種類の触媒種が可逆的に存在するデュアルRu触媒を用いる連続不斉反応、2) エナンチオマー間に平衡のあるラセミα-置換エステルとラクトンの不斉水素化、3) 可逆的に反応性の高いラクトン中間体を生じるラセミケトエステルとメソヒドロキシジエステルの不斉水素化、4) シアン化トリメチルシリルの窒素求核性と炭素求核性を制御した求核的アリル位およびベンジル位イソシアノ化、を課題とする。
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研究成果の概要 |
1) 独自のRu錯体触媒を用い、β,β-二置換-α,β-不飽和ケトンのダブル不斉水素化による光学活性飽和アルコールの合成、環状ラセミアリルアルコールの1,3-水素移動-不斉水素化連続反応による光学活性β-置換アルコールの合成、ラセミα-ヘテロ置換エステルの動的速度論分割を経るエナンチオマー選択的水素化反応に成功した。鏡像体過剰率は最高98%に達した。 2) PdまたはAg化合物を触媒に用い、トリメチルシリルシアニドを窒素求核剤とするアリル位およびベンジル位イソシアノ化反応に成功した。対応するイソニトリルが99%以上の純度で得られた。リン酸エステルが基質として好適であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
医農薬や機能性物質等を効率的に合成できる一般性の高い方法論の開拓は、学術的視点から、有機合成化学が達成すべき最重要課題の一つである。人々の生活が地球環境に大きな影響を与える昨今では、環境への負荷を低減させる触媒的物質合成へのシフトチェンジが急務である。本研究では、従来困難であった二段階の反応を一挙に推進し、有用性の高い多様な構造をもつ光学活性アルコールを簡便に合成できるルテニウム触媒の開拓等に成功した。また、医薬や光学材料合成に役立つが、有効な合成法のなかったイソニトリルの触媒的合成法を見出すことに成功した。触媒的有機合成の進歩と将来の有用物質の効率的供給に貢献が期待される。
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