研究課題/領域番号 |
19H02730
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石田 真太郎 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90436080)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | リンラジカル / 速度論的安定化 / 遷移金属錯体 / 開殻種 / サーモクロミズム / 脱離反応 / ラジカル / 常磁性 / 触媒 / 11族元素 / 常磁性錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
リンラジカルが配位した金属錯体はリン上の半占有軌道と金属軌道とのπ型軌道間相互作用に由来する性質に加え、リンラジカル配位子が電子授受に関与する性質(ノンイノセント性)を併せ持つ。本課題ではこの発想に基づき、これまで未開拓であるリンラジカル配位子を持つ後周期(9-11族)遷移金属錯体の合成と性質の解明を行う。研究を通じてリンラジカルが配位した錯体の性質の理解を進め、温度や溶媒など、外部環境に応じて電子状態が鋭敏に変化する錯体の創成、従来の触媒サイクルとは事なるメカニズムで進行する新規触媒反応の開発を目指す。この目的達成のために、応募者が独自に開発した安定リンラジカルを利用する。
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研究成果の概要 |
リンラジカルを配位子に持つ遷移金属錯体を合成し、両者の間の軌道間相互作用に立脚する機能性開拓に取り組んだ。今回合成に成功したリンラジカルが一つ配位したペンタフルオロフェニル-11族金属(金、銀、銅)錯体はいずれもリン上にスピンが主に局在化しているものの、中心金属の違いによって性質が異なることを明らかにした。リンラジカル配位の2配位銅錯体は溶媒依存性の可逆なサーモクロミズム(温度による色の変化)を示すことを見出し、その原因が低温で溶媒配位や二量化によるものであることを突き止めた。特に二量化は開殻―閉殻のスピン多重度の変化も伴うため、温度に応じた反応性の変化などに適応可能であると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、ラジカル配位子や、ノンイノセント配位子(電子授受性を持つ配位子)を持つ遷移金属錯体が、従来の閉殻系錯体と異なる高い反応性や、配位子も触媒反応に直接関与する協働作用性、外部環境に応じた応答を示す物質群として注目を集めている。本研究課題の成果はそれに貢献する内容となっている。今回合成したリンラジカル配位11族金属錯体の性質の金属依存性はこれまで未知であり、基礎的な情報として極めて重要である。また、リンラジカル銅錯体が示したスピン多重度の変化を伴う溶媒依存性サーモクロミズムは、機能性材料としての応用が期待できるのみならず、外部環境に応じて反応性が極端に変化する錯体の創製にもつながる。
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