配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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研究実績の概要 |
これまでに新規光駆動型ハイドライドを開発すべく主にTHF中における光水素発生機能を開発してきた。これらの知見を踏まえ、本光駆動型ハイドライドを固体材料化すべく研究を展開した。固体化によりエネルギー密度の向上や溶媒フリー化による副反応の抑制が期待される。そこで種々の金属イオンに配位子、1ー3次元構造を構築でき、光による励起状態水素脱離により水素ラジカル及び水素分子を発生しうる含芳香族ポリアミン系配位子を用いた錯体合成を展開した。具体的には、Feに加え、Co,Ni,Cu,Pd,Ptを用い、1,2,4,5-tetraaminobenzene(BTAH8)との複合化により不溶性配位高分子を作成し、化学的及び電気化学的な水素の可逆的貯蔵、放出を目指した。 その結果、BTAH8と五つの金属塩(Fe,Co,Ni,Pd,Pt)から配位高分子を合成した。得られた配位高分子は金属に依存して非晶質または結晶性構造を形成し、Ni, Pd, Pt錯体は同系の一次元構造を形成することを明らかにした。また、これらの錯体から作成された修飾ITO電極は単一または複数の還元応答を示し、-1.0 Vの還元条件下における光照射により電子またはプロトン共役電子移動することが示唆された。この機構を明らかにすべく、特にNi錯体について検討したところ、Ni錯体は800 nm に吸収を示し、電気化学的に酸化型配位子(s-bqdiまたはbqdi)へと還元されることが示された。更に、Ni錯体電極が示す還元応答はpHに依存することが示された。また、定電位印加、酸共存下における光照射によっていずれのpHでも中性条件と同様に光アノード応答を示すだけでなく、pH = 2 および 3 においては水素の発生を確認した。これらは、目的とする光駆動型水素貯蔵材料の創生に関して興味深い結果であると考えている。
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