研究課題
基盤研究(B)
がんの早期診断法の確立を目指して、電気化学的テロメラーゼアッセイ法に最適なプローブ分子として環状フェロセン化ナフタレンジイミド(cFND)を開発する。テロメラーゼは、がんのマーカーとして期待されており、テロメラーゼの基質DNAであるTSプライマーを電極に固定化したセンサチップにテロメラーゼを作用させるとTSプライマーが伸長される。これを電気化学シグナルへ変換し、間接的にテロメラーゼ活性を検出する。この変換で用いるcFNDは、単独電解液中ではフェロセンの酸化電流が抑えられ、テロメラーゼで伸長されたテロメアDNAが形成する4本鎖DNAに結合した際に酸化電流が生ずるシグナルオン型検出系を構築する。
がんのマーカーとして期待されているテロメラーゼの電気化学的活性検出法としてECTA法を開発した。より高精度ながんの診断を達成するために、指示薬を環状フェロセン化ナフタレンジイミド(cFND)とした。cFNDはそれ単独では、フェロセンとナフタレンジイミドの相互作用により電流が抑制され、4本鎖DNAが存在することによりこの電流が回復すると期待される。この目的のため、cFNDの合成と、4本鎖DNAとの相互作用解析を行い、cFNDが強く結合することを明らかにした。また、ECTAでは高い電流増加率(86%)でテロメラーゼ活性の検出に成功した。
これまでにフェロセン化ナフタレンジイミドによるECTAでは臨床サンプルで高精度ながんの診断を確立してきた。しかし、前がん病変の応答はがんと健常者の間に位置していた。前がんをより高精度に検出できれば、がんの超早期診断につながり、また本手法によるがんの予後診断にも利用できると思われる。がんの診断は、内視鏡検査、CTなど患者の負担の大きな検査が多い。これに代わる簡便な定量的診断方法の確立は、再発を含めたがんの早期診断につながり、患者のQOLの向上および医療費削減につながるものである。
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