研究課題/領域番号 |
19H02768
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
青木 裕之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (90343235)
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研究分担者 |
宮崎 司 京都大学, 産官学連携本部, 特定教授 (70789940)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2019年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 高分子薄膜 / 分子運動 / 超解像顕微鏡 / 中性子反射率 / 分子運動性 / 溶媒アニーリング / ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
高分子薄膜の処理には、昇温による熱アニーリングと溶媒蒸気に暴露する溶媒アニーリングが行われる。高分子薄膜の構造および物性を制御するためには、アニーリング処理中に生じる構造・分子運動の変化を分子レベルで理解することが必要である。熱による高分子鎖のダイナミクスはこれまでに様々な手法で研究が行われてきたものの、気相から取り込んだ溶媒分子による可塑化によって誘起される高分子の動的特性はこれまでにほとんど明らかになっていない。本研究では、溶媒アニーリング時における高分子鎖の振る舞いを中性子反射率法および顕微鏡による直接観察法によって明らかにすることを目指している。
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研究実績の概要 |
本研究では、高分子材料が気相から揮発性溶剤蒸気分子を取り込む過程とともに、その影響による高分子の構造及び物性の変化を明らかにすることを目的としている。本年度においては、気相中の溶剤蒸気が高分子材料中に吸収・拡散する様子を直接観察するための中性子反射率法のデータ処理技術に関する開発を前年度より継続して進めた。ディープラーニングによって中性子反射率のデータに特徴的な統計ノイズのパターンを学習することで、実際の測定データからノイズ成分のみを正確に推定して除去することで、試料の構造情報を反映した真の信号のみを抽出することを試みた。畳み込みニューラルネットワークを用いることで、上述のような信号処理に成功し、これまでの1/10の測定時間で得られた中性子反射率データを、精度を劣化させることなくフィッティング解析することが可能となった。これにより、分子運動性を評価するための時間分解中性子反射率測定の時間分解能を1オーダー向上することが可能となり、秒の時間スケールで生じる拡散運動も評価することができるようになった。これを用いて、これまでにポリメチルメタクリレート系高分子を試料として進めてきた研究を、架橋系高分子についても展開した。様々な溶媒について密閉セル内での飽和蒸気圧条件において、高分子膜への気相からの溶媒分子の吸収と拡散、さらにそれに伴う高分子膜の構造変化について中性子反射率による評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の影響及び電子部品供給の影響により、実験に必要な資材の調達に遅れが出ているため。
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今後の研究の推進方策 |
超解像光学顕微鏡による実空間評価を進める。一方、本年度の実験によりマイクロ秒スケールの運動性評価が必要であることが示唆されたため、ミュオン実験施設での実験について検討する。
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