研究課題
基盤研究(B)
本研究では、これまでの研究成果に基づき、ケミカルバイオロジーとCRISPRゲノムワイドスクリーニングを組み合わせて、化合物を手掛かりに統合的ストレス応答の全容解明と新たな治療法の開発に挑む。研究期間内において、(1)統合的ストレス応答を制御する化合物や遺伝子の同定から新規制御機構の発見、(2) 同定した化合物と標的タンパク質の結合実証による新規制御機構の検証、(3) 同定した化合物による統合的ストレス応答異常モデルの治療効果の実証の3つの目標の達成を目指す。
統合的ストレス応答は、アミノ酸飢餓、小胞体ストレス、ウィルス感染、ヘム欠乏など様々なストレス条件で惹起され、その破綻は糖尿病、ウィルス感染、神経変性疾患、癌など様々な疾患の発症に関与することが明らかになりつつある。本研究では、化合物ライブラリーからのスクリーニングを通じて、小胞体ストレスを緩和し、プリオン病(eLife 2019)や糖尿病(Cell Chem Biol. 2022)での細胞変化を改善するような化合物を見出した。また統合的ストレス応答の活性化が食欲を調節する新たな制御機構を見出し、ゲノム編集を用いた実験により実証できた(iScience 2021)。
生物はすべからく外界の変化に適応して生き延びるために、ストレス応答を進化させてきた。ストレス応答は生存に必須であり、その破綻や暴走は疾患発症や死に直結する。疾患を克服し、健康寿命を延伸させるには、ストレス抵抗性を獲得する必要があり、そのためにはストレス応答の解明が必須である。本研究では、化合物ライブラリーから探索したヒット化合物を手がかりに、疾患発症に関連する新規のストレス応答機構を発見することができ、また疾患モデル細胞におけるヒット化合物による病態改善効果も実証することができ、学術的にも社会的にも意義のある研究成果が得られた。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 8件)
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